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ブックマーク / honz.jp (14)

  • やたらと人が殺される凶暴な時代『室町は今日もハードボイルド:日本中世のアナーキーな世界』に住んでみたいか? - HONZ

    やたらと人が殺される凶暴な時代『室町は今日もハードボイルド:日中世のアナーキーな世界』に住んでみたいか? アバウトにしてアナーキー。ざっくりまとめるとこうなるのだろうか。なんだかやたらと凶暴でハードボイルドな室町時代。日人は律儀で柔和などという言い方は絶対に通用しない。室町時代の後半は戦国時代だったから、というわけではない。武士たちだけでなく、農民や女性、僧侶までもがなんだか殺気立っているのだ。まずは『びわ湖無差別殺傷事件』から。 びわ湖がくびれていちばん細くなっているところ、琵琶湖大橋のかかっている西側に堅田という町があった。というか、今もある。そこに兵庫という名の青年がいた。“他の堅田の住人と同じく、周辺を通行する船から通行量をとったり、手広く水運業を行ったり、場合によっては海賊行為を働いたり“ と、とんでもない多角経営を営んでいた。湖なので、海賊ではなくて湖賊だが、まぁ、それはよ

    やたらと人が殺される凶暴な時代『室町は今日もハードボイルド:日本中世のアナーキーな世界』に住んでみたいか? - HONZ
  • 『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス いまからおよそ1万年前、人類は農業を発明した。農業が生まれると、人びとは必要な栄養を効率的に摂取できるようになり、移動性の狩猟採集生活から脱して、好適地に定住するようになった。そして、一部の集住地域では文明が興り、さらには、生産物の余剰を背景にして国家が形成された──。おそらくあなたもそんなストーリーを耳にし、学んだことがあるだろう。 しかし、かくも行き渡っているそのストーリーに対して、書は疑問符を突きつける。なるほど、初期の国家はいずれも農業を基盤とするものであった。だが、人類はなにも農業を手にしたから定住を始めたわけではない(後述)。また、メソポタミアで最初期の国家が誕生したのは、作物栽培と定住の開始から4000年以上も後のことである。それゆえ、「農業→定住→国家」と安直に結び

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ
  • 『京料理人、四百四十年の手間「山ばな 平八茶屋」の仕事』料理とは手間の文化、修業とは手間を学ぶこと。 - HONZ

    四条河原町から京都バスに延々と乗って20番目の停留所。そこが平八前になる。若狭街道、通称、鯖街道は交通量が多く、バスから降りたらすぐに道のわきに寄らないと危ない。 「平八茶屋」の暖簾がはためく大きな家があるのだけど、最初は入り口に戸惑う。向かって左側の蒼とした木の下を通ると、そこから広く「山ばな平八茶屋」のお庭が見通せる。お部屋に通されると、外には高野川が流れている。時間の流れがゆるやかで、時代が違っているような気がする。 著者の園部平八は20代目の当主である。創業は天正4年(1576年)というから440年の歴史を誇る京都の老舗料亭「山ばな平八茶屋」。天正4年は琵琶湖の畔に織田信長が安土城を築城し始めた年だという。安土城によって京都の治安が格段によくなり、平八茶屋の先祖はここに茶屋を開業したのではないかと、当代は推測する。京に入るための七口のひとつ、大原口から一里の場所にある。 山ばな平

    『京料理人、四百四十年の手間「山ばな 平八茶屋」の仕事』料理とは手間の文化、修業とは手間を学ぶこと。 - HONZ
  • 九歳でロケット、十四歳で核融合炉を作った「天才」──『太陽を創った少年』 - HONZ

    この世には「ギフテッド」と呼ばれる神から与えられたとしか思えない才能を持つ凄い人間たちがいる。そのうちの一人がアメリカ、アーカンソー州のテイラー・ウィルソン少年だ。彼は9歳で高度なロケットを”理解した上で“作り上げ、14歳にして5億度のプラズマコア中で原子をたがいに衝突させる反応炉をつくって、当時の史上最年少で核融合の達成を成し遂げてみせた。 彼は核融合炉を作り上げるだけで止まらずに、そこで得た知見と技術を元に兵器を探知するための中性子を利用した(兵器用核分裂物資がコンテナなどの中に入っていると、中性子がその物質の核分裂反応を誘発しガンマ線が出るので、検出できる)、兵器探知装置をつくるなど、その技術を次々と世の中にために活かし始めている。書は、そんな少年のこれまでの歩みについて書かれた一冊であり、同時にそうした「少年の両親が、いかにしてのびのびと成長し、核融合炉をつくれる環境を構築してき

    九歳でロケット、十四歳で核融合炉を作った「天才」──『太陽を創った少年』 - HONZ
  • 『「日本の伝統」の正体』言葉の魔力に振り回されないために - HONZ

    周りのみんながやっているから、乗り遅れないように私もやる――誰しも一度はこうした経験をしたことがあるのではないか。仲間外れは怖いものだ。多少ヘンな流行であっても、ついつい乗ってしまうのが人間の性である。 だが、そうして広まったブームも、時間が経つにつれて一つの風習・行事として根付く場合がある。「伝統」だなんて言葉がついていれば、説得力倍増だ。「古くから伝わるものなんだ、絶やしちゃいけない」という義務感すら覚えさせられる。 著者はここで疑問を抱く。その伝統、当に古くからあるのか? だいたい「古くから」「昔から」とは一体いつごろのことなのか? いつからなら「伝統」と呼べるのか? 書はそうしたモヤモヤを感じる日の伝統の数々を検証する一冊である。著者は1979年に「星新一ショートショート・コンテスト」入賞を機に数多くのラジオ番組制作に関わってきた名放送作家。脚家・作家としても活躍し、日

    『「日本の伝統」の正体』言葉の魔力に振り回されないために - HONZ
  • 虎屋が駆け抜けた日本史 『和菓子を愛した人たち』 - HONZ

    「虎屋」。ほとんどの人が聞いたことがある……どころか、べたこともらったこと贈ったこと、なにかしらお世話になっているに違いない。室町時代後期の創業以来、500年以上にわたって日の和菓子業界をリードしてきた老舗だ。その虎屋には、和菓子を研究する部門「虎屋文庫」がある。 創業以来、約500年の歴史を持つ虎屋は、現在の黒川光博社長で17代目、売り上げは約186億円(2016年)。私自身でいえば、羊羹の代名詞『夜の梅』は知っていても、和菓子の歴史などはつゆ知らず、興味を持つきっかけになったのが「虎屋文庫」の展示に行ったことだった。 歴史の長い虎屋には、菓子の見帳や古文書、菓子木型や古器物などが数多く伝来する。この虎屋文庫は社内の一部署として1973年に設立、資料の保存や整理、和菓子関連の展示開催や機関誌『和菓子』(研究論文などを収録)の発行などを行ってきたのだ(問い合わせなどは可能だが、史料は

    虎屋が駆け抜けた日本史 『和菓子を愛した人たち』 - HONZ
  • 『平安京はいらなかった 古代の夢を喰らう中世』 - HONZ

    冒頭、著者は「日という国に、あのような平安京などいらなかった」と喝破する。「平安京は最初から無用の長物であり、その欠点は時とともに目立つばかりであった」と。「では、なぜ不要な平安京が造られ、なぜ1000年以上も存続したのか」と著者は畳み掛ける。そう挑発されたら、後はもう読むしかないではないか。とても刺激的な1冊だった。 日は、大唐世界帝国の脅威に直面して立国した国である。白村江の戦いに敗れた倭は、明治時代の鹿鳴館政策と同じように、国をあげて背伸びをし、唐と同じ胡服に身を包んで律令国家を目指していく。日という国号、天皇という称号、日書紀という国書、全てが唐に対峙する目的で整備されたといわれている。藤原京、平城京、平安京と続く都も決してその例外ではない。 豪族たちを根拠地から切り離して京に集住させ中央集権体制を速やかに固める必要性にも迫られてはいたが、何よりも、平安京は日の天皇の威信

    『平安京はいらなかった 古代の夢を喰らう中世』 - HONZ
  • 『京都ぎらい』を読んでいるのは、どんな人なのか? - HONZ

    桜開花のニュースを見ると、なぜだかソワソワし無性にどこかに出かけたくなります。書店の店頭も多くのレジャー誌、旅行ガイドブックで賑わっていますが、行き先別に見ると常に人気があるのが京都。この3月の売行きを見ても、20代~30代の若年世代ではUSJやディズニーリゾート関連書に負けるものの、60代以上ではダントツ1番人気となっていました。(WIN+調べ) そんな中、『京都ぎらい』の勢いが止まりません。9月の発売以降注目されていた作品でしたが、2月上旬に大ブレイク(新聞での取り上げが大きく影響したようです)ベストセラー上位に在位し続けており、まだまだ売上を伸ばしています。今回は『京都ぎらい』を読んでいる人がどんな人なのかを見ていきたいと思います。 こちらは『京都ぎらい』の県別の1軒当たりの平均販売冊数を表した地図です。順位を見てみると、1位:京都 2位:神奈川 3位:東京 4位:大阪 5位:山形 

    『京都ぎらい』を読んでいるのは、どんな人なのか? - HONZ
  • 『絶対に行けない世界の非公開区域99』行けない場所にはワケがある - HONZ

    企業秘密として、立ち入りを禁じられた場所。 軍事上のセキュリティによる観点から、非公開とされてきた場所。 都合が悪いからと、見て見ぬふりをされてきた場所。 都市伝説として知られており、当にあるのかどうか分からない場所。 これだけ交通手段も発達し、情報化が進んだとはいえ、まだまだ世界は広い。宗教、科学、歴史戦争、様々な分野において、限られた人間しか立ち入れない驚きのスポットが数多く存在している。そして須らく行けない場所にはワケがあるのだ。 それはまさに世界中に散らばった情報社会の秘境。ヒトラーの地下壕から伊勢神宮まで、書に掲載されている全99ヶ所の非公開区域の中から、そのいくつかを紹介してみたい。 * 先祖とのつながりを重視することでも知られるモルモン教。その総山の近くには、世界最大と思しき35億点を越える家系データが保管されている。ユタ州に位置する岩山の地下深くにそびえ立つ、グラナ

    『絶対に行けない世界の非公開区域99』行けない場所にはワケがある - HONZ
  • 京都の対極? 『冷泉家八〇〇年の「守る力」』vs『人生、行きがかりじょう』 - HONZ

    面白いだろうと思って買ったが面白かったらうれしい。しかし、まぁ教養のために読んどこかぁ程度に思って買ったが面白かったら、もっとうれしい。すこし失礼かもしれないけれど、わたしにとって、『冷泉家八〇〇年の「守る力」』は、そんなだった。 藤原定家の息子、初代の冷泉為家まで800年を遡ることができる、天皇家に仕えた和歌の家系。日でも屈指の名家の話である。タイトルもちょいと大仰であるし、固いなのであろうと思いながら買った。こういうはえてして積ん読のまま運命を終えることが多いのであるが、読めば爽やか軽快で、そうかそうかそうなのかと、予想外の一気読み。 冷泉家といえば、なんといっても、定家の日記である明月記をはじめ、国宝5件、重要文化財47件などが納められている御文庫である。公家とはいえ、ひとつの家の蔵で、これだけの文章が維持されてきたというのは、奇跡に近い。実際、冷泉家代々のたゆまぬ努力と

    京都の対極? 『冷泉家八〇〇年の「守る力」』vs『人生、行きがかりじょう』 - HONZ
  • ヤマネコとイエネコのあいだ――ネコ・ゲノム計画 - HONZ

    みなさま、ご存知でしょうか? を愛する人間の中には、心中、ワイルドな(ヤマネコやネコ科大型獣)に憧れている者がいるということを。 そういう人たちは、ワイルドライフのドキュメンタリー番組で、草動物がネコ科大型獣に追いかけられている映像を見て、手に汗を握ってネコ科大型獣を応援してしまうのです。何を隠そう、実はわたしがそれなのです。 ある有名人が(誰だったか忘れてしまいましたが)、「トラが好きな人は、当はトラを撫でたいのだ」と言ったそうですが、わたしはまさにそれに当てはまります。 そんなわたしですから、『ニューヨーカー』誌の5月6日号に「リビングルーム・レオパード」と題する記事を見つけたときには、一も二もなく読み始めました。 その記事は、ワイルドな容姿を持つペット用のを作り出すために、ヤマネコとイエネコを交配し、生まれた子を販売しようとする人たちが取り上げられていました。 しかしヤ

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    azumakuniyuki
    azumakuniyuki 2013/07/11
    「イエネコのイブ」で大長編が作れそう、タイトルは「ドラえもん のび太の猫」で。
  • 『新・ローマ帝国衰亡史』新しい仮説の立て方 - HONZ

    仮説力を磨きたい人にはおススメの。 いわゆる一流の人間とは、真理に近い仮説を立て、それをいち早く検証・実践した人間と言われている。確かにこのことは学問・政治・ビジネスなどあらゆる分野において普遍的であり、仮説力ある人が世の中をリードしていると言っても過言ではない、と言うと少し言い過ぎか。いずれにせよ、一朝一夕に仮説力を磨くのは難しく、よほどの才能がない限り、独学で徐々に学んでいくしかないのが現実である。 仮説力を磨くのにおススメするのは読書を通して仮説力ある人物の仮説・検証プロセスをフォローしてみること。HONZ代表である成毛眞のオールタイムベスト10で紹介されているは、仮説力を鍛えてくれる良書が多く一番のおススメリストであるが、書も京都大学教授が変わった仮説をたてているでおススメだ。 特に書を通して学べるのは、新しい仮説の立て方。物事を少し変わった視点から考察することで定説を覆

    『新・ローマ帝国衰亡史』新しい仮説の立て方 - HONZ
  • 『ハウス・オブ・ヤマナカ』 - HONZ

    明治の揺藍期に日の美術品が海外に流出したのは広く知られる。海外の美術商が直接買い付けた物もあるが、日人の手によって広まった物も少なくない。中でも明治期から第二次世界大戦が始まる前まで、欧米で存在感を放ったのが山中商会だ。ニューヨーク、ボストン、イギリスなどに支店を構え、ロックフェラーなどの欧米の富豪に日中国の美術品を供給し続けた。書は、山中商会の事業の拡大と衰退を時系列で描いている。 戦前、それも明治期の美術商は個人での活動が多かった。山中商会も隆盛期に経営を担った山中定次郎の活動が山中商会の評価と重なる部分がこれまでは大きかった。実際、山中商会について詳しい 『山中定次郎扇伝』などの文献では、その書名からもわかるように、定次郎を中心に山中商会の歴史は描かれている。こうした中、書が新たに提示した視点とは、山中定次郎=山中商会の構図をぬりかえたことだろう。著者は明確に記していない

    『ハウス・オブ・ヤマナカ』 - HONZ
  • 『古代日本の超技術』を年の初めに - HONZ

    毎年、初詣などで神社仏閣系の場所を訪れると、心なしかほっとした気分になる。めまぐるしい変化にさらされている昨今、何年も変わらぬ佇まいを見るということは落ち着くものだ。 世界最古の木造建築である法隆寺五重塔をはじめ、日には古代からの木造建築が、今でもたくさん現存している。周辺の建物が様変わりしていく中、なぜこれほどもの長い間、これらの建築物は風雪に耐え抜くことができたのか。 答えの一つに、「古代人」の技術が「現代人」の技術を上回る要素を持っていたということが挙げられる。そんな馬鹿なと思うかもしれないが、紛れもない事実なのだ。書はそんな、1000年を耐えぬいた古代人たちの技術や思想を紹介した1冊である。 たとえば釘。現代の釘は外に出しておくと10年も経たないうちに真っ赤に錆びてしまうが、飛鳥時代の釘はおよそ1300年ものあいだ新品同様の状態を保っており、この先1000年使っても大丈夫と言わ

    『古代日本の超技術』を年の初めに - HONZ
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