イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザで、軍はハマス戦闘員のほか、多数の民間人も拘束し、イスラエル領内の軍拠点に連行している。「身体に電気棒を当てられた」「小便をかけられた」…。軍は拘束を巡る情報を公表せず、詳細については不明な点が多いが、解放された市民への取材からは軍兵士による「拷問」の実態が浮かぶ。国連からもイスラエル政府に対し「拷問の疑い」を調査するよう求める声が上がる。イスラエル軍は「不当な行為はない」との主張に終始するが、イスラエル軍拠点では一体、何が起きているのか。共同通信ガザ通信員、ハッサン・エスドゥーディーが報告する。(敬称略。翻訳、構成は共同通信エルサレム支局長 平野雄吾) ▽裸にされて連行 ガザ南部ラファ。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)運営の学校でアムラン・アブワルダ(54)は数センチにわたる左腕や背中の傷痕を見せ、振り返った。