企業が納める法人税額を特別に優遇し減額する「租税特別措置」の適用額が、第二次安倍政権が発足した直後の二〇一三年度から急増している。法人税の実質的な負担割合は資本金の多い企業ほど低く、減税の恩恵が巨大企業に集中しているという試算もある。与党は十二日に決定する二〇年度の税制改正大綱に新たな優遇措置を盛り込む予定で、専門家は企業間の不公平感をさらに助長すると批判する。 (大島宏一郎) 安倍政権は一三年度に、賃上げを促すため、賃上げ額の一定割合を法人税額から差し引く「賃上げ促進減税」を新設。また研究開発を後押しする「研究開発減税」では、法人税額から差し引ける研究開発費の上限も引き上げ、減税恩恵を大きくした。 大和総研の神尾篤史氏は「この二つの措置により、法人税の減税額が増えた」と分析。財務省の資料によると、法人税額から一定額を差し引く「税額控除」による減税額は一七年度で一兆九百四十四億円と、民主党