日本で唯一の仮設店舗のジャズ喫茶「ジョニー」が津波をかぶってうめき声のような音を立てながら倒れ、そのまま流されていくのを、店のすぐ裏手の山の上にある本丸公園のほうへと逃げながら見届けたとき、「ジョニー」の店主照井由紀子さんは、「明日からみんなにどうやってコーヒーをいれようか」とまず考えたという。 あの地震が起きた午後2時46分、照井さんは「ジョニー」にいて洗い物をしていた。尋常ではない揺れのために棚からグラスやボトルが落ちて破片が床に散乱した。外に出てみると、陸前高田駅から「ジョニー」まで旅館や商店が立ち並ぶ「駅通り」は、驚いて建物から飛び出してきた人たちでいっぱいだった。 「通りの向こうのほうでは『津波がきてる!』という人もいたけど、まさかここまでくるとは思わなかったんです。それよりも店の建物が古いから(余震で)壊れたらどうしようって。(いろんな物が落ちて散乱している店内は)津波から避難
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