小西康陽の新たなる深化。あるいは新たなる出発点。そう言ってもいいだろうエポックメイキングなアルバムだ。PIZZICATO ONE名義での最新作である『前夜 ピチカート・ワン・イン・パースン』。これは確かに昨年10月にBillboard Liveで開催されたパフォーマンスを収録したライブ・アルバムではある。だが、それ以上の意味を持った重要作だと言っていい。 小西康陽がPIZZICATO FIVE時代を含めてもライブ盤を発表すること自体極めて珍しいし(『インスタント・リプレイ』など例外はあるが)、ヴィブラフォン(香取良彦)、ピアノ(矢舟テツロー)、ギター(田辺充邦)、ベース(河上修)、ドラムス(有泉一)によるクインテット編成であることの魅力もある。昨年、このライブに足を運んだ方の中には、小西が好きなティム・ハーディンやローラ・ニーロのライブ・アルバムと同じ編成であることにニヤリとした人も多かっ