異世界に生まれ変わって前世の知識で大成功ーー。そんな設定を持ちながら、香月美夜の小説『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んではいられません~』(TOブックス)で主人公のマインがたどる運命はとても苛烈だ。差別される弱者の側に生まれ、お金も物資も乏しく体も弱いといったハンディを背負わされる。それでも「本が読みたい」という願いをかなえるために突っ走っていくマインの前向きさに惹かれたファンによって大人気となり、3期にわたってアニメ化され第4期の制作も発表された。『本好きの下剋上』はどうしてこれほどまでに人を惹きつけるのか? 暗殺者としての技術だったり、料理人としての腕前だったりを転生した先に持ち込んで、大活躍する作品と『本好きの下剋上』との間に違いがあとすれば、転生者のマインが前世はただの本好きな女子大生だったということだ。大学図書館に就職が決まって、これからの人生を好きなだけ本に耽溺でき