【北京=西見由章】新型コロナウイルスの最初の発生源は中国湖北省武漢市の華南海鮮市場で取引されていた野生動物だ-。そうした中国当局による従来の見解が揺らいでいる。政府系の機関が、ウイルスは別の地域から同市場に流入したとの分析結果を示したためだ。ただ「最初の感染者」がどこでどのように生まれたのかを突き止める手掛かりは少なく、謎が深まっている。 中国科学院シーサンパンナ熱帯植物園(雲南省)などが26日までに公表した論文によると、中国など12カ国で採取された新型コロナウイルスの遺伝子情報を分析した結果、華南海鮮市場で検出されたウイルスは別の地域から流入していたことがわかった。早ければ11月下旬には別の場所で「人から人」感染が始まっていた可能性があると指摘。その後、同市場を拠点に感染が拡大するルートもできたと分析した。 こうした見方は、武漢市の医師らが1月、英医学誌「ランセット」に公表した論文と符合