母の死後、介護施設に入居した父と、飲食店で食事をしたとき「俺がおごるよ」と言ったことがありました。当時、父の認知症の症状は持ち直ししており、普通の会話が成り立つことも多くありました。だからこそ父の意思を尊重して、「じゃあ、おごってもらうよ!」と、その飲食代を父の預金から支払わせてもらいました。成年後見人になると、家庭裁判所に1年に1度、財産の収支報告をする必要があるのですが、この出費には「本人の意思とは立証できない」ということで、認めてもらえませんでした。 同様の理由で、母が元気なときに、親子間で話し合っていた、相続税対策も一切できなくなりました。年間110万円まで贈与税が発生しない「暦年贈与」を実行しようとしたら、裁判所からストップがかかったのです。母の遺産相続についても、父は私に「俺はいらないよ」と言っていましたが、法定相続分に従わざるを得ませんでした。 家庭裁判所としては「認知症を患