日本経済新聞の名物連載「私の履歴書」。現在連載中の石原邦夫氏(東京海上日動火災元社長)について、経営学者の楠木建氏が「桁外れにつまらない」と評して話題を集めている。どこが“桁外れ”なのか――。■1カ月の連載でその人のセンスを知ることができる日本経済新聞文化面の連載読み物「私の履歴書」を習慣的に読んでいる人は多い。僕もその一人だ。大きな事を成した人々が自らの仕事と人生を振り返る。一人で1カ月連載が続くのがいい。その波乱万丈の人生をゆっくりじっくりと追体験できる。 春の叙勲で旭日大綬章を受けた東京海上日動火災保険の石原邦夫元社長。(写真=時事通信フォト)経営者が登場することも少なくない。学者という仕事柄、経営者の自伝が勉強になるということもあるのだが、僕が「私の履歴書」を読む動機は、それ以上に功成り名を遂げた人々の「センス」を知ることにある。 その人のセンスはスキルを超えたところにある。あれが