新興国にとって、今年の8月はこれまでになく強い逆風が吹いた1カ月となった。エジプトの政治的・経済的混乱は言うまでもなく、ペルーや中国の景気減速、ブラジルやトルコの抗議デモに関する報道などが多く目についた。 報道の大半は、そうした出来事を過去10年間というスパンで大局的に捉えるというよりはむしろ、新興国の発展が終わりを迎えたとする「死亡記事」のようだった。ニューヨーク・タイムズ紙は、米連邦準備理事会(FRB)が資産買い入れを間もなく縮小するとの観測が強まる中、まずはトルコが新興国バブル崩壊の先駆けになる可能性が高いと指摘。一方、ウォールストリート・ジャーナル紙は新興国株には投資しない方がよいとする展望記事を出した。 しかし、こうした「死亡記事」は早計ではなかろうか。こうした見方は、われわれがまだ、20世紀の帝国主義的思考から抜けきれていない証左とも言える。発展途上国は欧米諸国なくしては無力だ