上のスケッチは、15年前に、小型のシンクロトロンの設計図の美しさに惹かれて、それをカラーイラスト化したものです。 シンクロトロンは、ダビデがゴリアテを倒すのに使ったとされる革ひも投石器の要領で、陽子や電子などの小さな粒子を投げる装置です。二つの円は、強力な磁石によって粒子を振り回す軌道。それに接する直線はその円周を素粒子が出入りするための通路。素粒子は磁石に引っ張られながら円軌道上でくるくる回るうちに加速されて、接線上に飛び出します。投げるものはとても小さいのに装置は巨大で、莫大な電力を使用します。射出された高エネルギー粒子は,原子核を壊す実験に使われたり、がんの治療に使われたりします。 いわゆる高エネルギー物理学と言われる分野の研究施設の多くは、このようなシンプルな幾何学で構成された構造物になっています。そこでは物質の根源を探るべく、巨大なエネルギーの粒子を原子にぶつけるために、直径何キ