勤務医の劣悪な労働環境をどうするのか。厚生労働省は、患者の流れを整理し、病院の負担を軽くする「総合科」創設構想をまとめたが、医の現場では、医師不足に医療事故への不安が重なり、崩壊寸前の所もある。勤務医の現状を追う。 ミスの不安と激務 女医辞める 「精いっぱいやっても患者が亡くなれば逮捕。これではやっていけません」 昨年夏、公立病院に勤務していた一人の女性産婦人科医(42)が、そんな理由で医療現場を去った。月6回の当直日は翌日夕まで32時間の連続勤務。仕事の合間にコンビニエンスストアのおにぎりをかじり、睡眠不足のまま手術することも。たまの休日でも呼び出しがかかる。スタッフ削減などで仕事は増える一方だ。 体力の限界。この生活がいつまで続くのかという不安。燃え尽きる直前の女医に、白衣を脱ぐ決断をさせたのが福島県で起きた「大野病院事件」だった。 ◇ 「逮捕・起訴の時に殺到した医療関係者からの抗議の