[5]「知性の海抜ゼロ地帯」の出現 「わかりやすさ」と「売れること」、第3次新書ブームが転機に 香山リカ 精神科医、立教大学現代心理学部教授 今年の1月17日、大学入試センター試験の監督をしていた私は、国語の時間に何気なく問題文に目をやり、「あっ」と声を上げそうになってしまった。 第1問は現代文の長文読解だったのだが、それがこんな文章から始まっていたのだ。 「啓蒙のベクトルが、どんどん落ちていく」 「ネット上で教えを垂れる人たちは、特にある程度有名な方々は、他者に対して啓蒙的な態度を取るということに、一種の義務感を持ってやってらっしゃる場合もあるのだろうと思います。僕も啓蒙は必要だと思うのですが、どうも良くないと思うのは、ともするとネット上では、啓蒙のベクトルが、どんどん落ちていくことです。」 「誰が書いたものだろう」とあわててページを括り、これが佐々木敦氏の『未知との遭遇―無限のセカイと
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