スポーツには、大きく分けると2つの戦い方がある。一つは「自分たちの強みを出す戦い」で、もう一つは「相手の強みを消す戦い」だ。自分たちの強みを出す中で、自然と相手の強みが消えれば最高だが、勝負がそれほど簡単に進むことは稀だろう。 強者は自分たちの強みを押し立て、弱者は相手の強みを消そうとする――。そんな構図はスポーツ、そしてサッカーの常と言っていい。しかし4月13日の国立競技場で我々が見たものは、良くも悪くも「強者不在」のバトルだった。 FC町田ゼルビアはJ1初昇格ながら、第7節を終えて勝ち点16の首位に立っていた。ヴィッセル神戸は2023シーズンのJ1王者で、勝ち点11の4位でこの戦いを迎えていた。神戸が2-1でこの大一番を制し、町田は首位から陥落している。 町田はチャレンジャーの戦いを貫き、分かりやすく言えば「相手の嫌がるプレー」を徹底してくる。ボール保持よりも敵陣に押し込むこと……、つ