東京駅。 世界屈指の大都市・東京のコアターミナルのひとつとなる駅。皇居に向かう丸の内口、新規開発された八重洲口と東西に大きくわけて2つの出口を持ち、毎日20万人弱の乗降客がいる巨大駅。その駅の床にポツリとつけられたマークを知っている方はいるだろうか? これは戦前の東京駅で起きた事件の跡なのだ。 1921年。立憲政友会所属の首相・原敬が、現在の丸の内南口の改札付近で、暗殺された。1930年には同じく東京駅の現在でいう中央通路付近で濱口雄幸首相が銃撃され、その翌年に怪我がもとで亡くなっている。人が無数に行きかう東京駅には、こうした戦前の激動もひっそりと刻まれている。 平民宰相・暗殺 原敬は1856年盛岡藩で生まれた。首相になった際には「平民宰相」と呼ばれるが両親は武士の家柄。成人後に分家して平民籍になっている。新聞社や外務省への勤務を経て、1900年に立憲政友会に入党。1918年には、米騒動で