「辞任というのは、最悪の行動じゃないでしょうか」 先週末、同僚から届いたメールの一文だ。内閣官房参与だった小佐古敏荘・東京大教授の話題だ。小佐古さんは、放射線の健康影響の専門家。その人が「政府の対応は甘すぎる」と訴え、泣きながら会見した。原発事故の地元では、ただでさえ放射性物質への不安が高まっている。小佐古さんの辞任劇は「あまりに感情的で唐突な行動のため、混乱に拍車をかける」というのだ。 放射性物質の健康影響には、2種類ある。強い放射線で体の組織が傷つく確定的影響と、被ばくによって染色体が傷つき、将来がんになるリスクが高まる確率的影響だ。原発から数十キロ離れれば、確定的影響が起きる線量より大幅に低く、「ただちに影響はない」との説明になる。一方、将来のがんリスクは、被ばく量が少なくても、わずかに高まるとされる。中でも、子どもは放射性物質の影響を受けやすい。福島県の親たちが心配するのは、その点