久しぶりに電車に乗った。その日は割と混んでいて、座れない人もいました。 横並びの座席の、いちばん端の席に座っている私の左側には、肘掛けのような仕切りがあります。 その肘掛けにちょこんと腰掛け、座っている私の前にジリジリとせり出してくるお嬢さんが現れた。背中領空侵犯だった。国と国なら戦争になっていたかもしれない。 けれども、私は世界の平和を願う心優しき女。空中だからと許した。 私はお嬢さんの背中に左耳を当てたまま、ただ黙って電車に揺られた。 赤の他人どうしだけれど、私たちは仲良く寄り添いあった。 そして、そんなふうに揺られながら、私は色々なことを考えたのでした。 これは、もしかしてアレかな。「思い切り泣いちゃえよ、あたいの背中を貸してやっからさ」ってことなのかな? けれども、そんなお心遣いをいただいたというのに、私は泣きたいことなど何ひとつ思い浮かばなかった。 偶然、幸せな自分に気付くことっ
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