今の株価は、まだバブルでない いわゆる「アベノミクス」は、「期待への働きかけ」が功を奏して、前週の段階で対ドルの為替レートが96円、株価は日経平均で1万2,000円台と効果を発揮し始めている。 2%のインフレ目標が設定され、日銀の首脳交代に伴う金融緩和強化の期待も相まって、市場参加者が「近い将来の実質金利が低下する」という期待(=予想)を形成して、円安・株高に向かっている。この動きは合理的であり、単なるムードだけによるものではない。 この場合、「期待」と言っても、将来のインフレの実現を直接予測したものではない点に、少々注意が必要だ。市場参加者は、いつ、どの程度実現するか分からないインフレの予想にお金を賭けているのではない。 このパターンは、学習能力のある投資家なら、昨年2月の「バレンタイン緩和」(日銀が1%のインフレ目標の目処を発表した)へのマーケットの反応から十分予測できたはずのものだ。