既存の疫学研究から、飲酒量と健康リスクとの関係は様々なパターンをとることが示唆されています。高血圧や脳出血は正比例関係を示すといわれていますが、非飲酒者に比べて少量飲酒者のリスクがむしろ低く、飲酒量が増えればリスクが高くなるというJカーブパターンをとるものもあります。総死亡数・虚血性心疾患・脳梗塞・2型糖尿病などでこのような関係が認められており、飲酒の健康面での利点とされています。ただしJカーブ関係が認められるのは、先進国の中年男女とされていることに留意が必要です。 1. 飲酒量と健康リスク 世界保健機関は有害な飲酒は200以上もの健康問題と関係していると報告しています。確かに過量飲酒を続ければ多くの病気が発生することは間違いないでしょう。それでは少ない飲酒量と健康リスクとはどのような関係になっているのでしょうか。既存の疫学研究から、病気の種類により様々なパターンをとることが示唆されていま