人口減と出版不況。ふたつの「負」を打ち返すように10年続いてきた北海道留萌市の留萌ブックセンター。売り上げが予算を割ったことはない。地域の人と書店員の思いを重ね合って続いてきた10年の物語。 東京・神保町にある三省堂書店本店を訪ねたのは、留萌から戻った翌月、5月半ばの朝だった。留萌市で誘致活動が起こった当時の札幌店長に話を聞くためだ。その人は、応接室に資料の積み上がった書類箱を抱えるようにして現れた。常務取締役の横内正広さんだ。 横内さんは留萌の人たちの熱意が三省堂書店の役員会議を動かした経緯を、時折資料を示しながら詳細に振り返った。90分の取材が終わりにさしかかった頃、その横内さんが思いがけない言葉を口にした。 「あれはほんとうに予想外でした」 横内さんは、腕組みをしてもう一度、同じ言葉を繰り返した。 「確かに私は開店時に言いました。2、3年経って、もし赤字になったら撤退することもあり得
人口2万5千人の留萌市から本屋が消えたのは2010年12月。それから7カ月後、人口30万人以上でないと出店しないルールを持つ三省堂書店が出店した。それはどうしてだったのか。 4月だというのに、その日は雪がちらついた。地元の人は5月の連休が明けるまではスタッドレスタイヤを外さないという。ゆったりとした坂道を登りつめると、眼前に日本海が広がる。北海道の西端にある留萌の海岸からは水平線の下へと沈むまん丸で真っ赤な夕陽を見ることができる。 留萌の坂道 美しい地名はルルモッペ(=潮の静かに入るところ)というアイヌの言葉に由来する。明治期ににしん漁により港町として留萌の地が拓けた。炭鉱業も栄え、1910年には留萌本線が開通、続いて1932年には留萌港が竣工した。 昭和の頃、正月ともなると、新年を祝う人たちがこの坂道をぎっしりと埋め尽くしたものですよ。 タクシーの運転手が問わず語りに聞かせてくれた。通り
書店員を辞めました 退職エントリを書くことに小さな憧れがあったので、退職が決まったときから「どんなこと書こうかなぁ」とぼんやりと考えていたのだけど、でもよく考えてみるとネット上から職場に対して言いたいことなんて何ひとつなかった。 しかし、書店員を辞めた現時点で、本や書店について自分が考えていることを書き残していきたい気もするので、今回は「ぼくがかんがえた本といんたーねっと」について書こうと思う。 記事内容を要約すると、<インターネットがもっとコンテンツと出会う場に、そして創作活動をもっとドライブさせる場になってほしい>という話になります。 言いたいことがありすぎて少し散らかった印象になってしまいましたが、自分にしては珍しく熱っぽく書いた記事なので、時間のあるときに読んでくれると嬉しいです。 ちなみに、記事のタイトルを「潮見、書店員辞めるってよ」にしなかったのは、同世代の羨望と嫉妬を一手に引
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、2018年3月31日で10年務めた丸善キャンパスショップを退職しました。
滅びゆくのはマンガ文化か、出版社か、それとも表現の自由か投稿者: heatwave_p2p 投稿日: 2018/3/292018/3/29 日本経済新聞によれば、マンガ単行本(コミックス)の販売減の背景には海賊版マンガの横行があるのだという。 出版科学研究所は25日、2017年の出版市場が前年比7%減の1兆3701億円だったと発表した。前年割れは13年連続で市場はピークの半分に縮んだが、関係者を驚かせたのはその内訳だ。最後の砦(とりで)の漫画単行本(コミックス)販売が13%減と初めて2ケタの減少に沈んだのだ。苦境の背後には急速にはびこり始めた海賊版サイトの拡大がある。 出版、最後の砦マンガ沈む 海賊版横行で販売2ケタ減:日本経済新聞 出版社と出版取次(トーハン)による業界団体の出版科学研究所が1月25日に公表したデータを元にしたストーリーなのだが、いささか違和感を覚える。 マンガ出版の全盛
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています 近ごろはめっきり耳にすることが少なくなった「自炊」という言葉。電子書籍がようやく身近になりはじめた2010年代前半、自分が持っている本を自分でデータ化する“自炊”が読書家の間で爆発的に流行した時期がありました。 「自分で吸い出す」を略して「自炊」。しかしそんな自炊も、電子書籍が普及し、最初から電子版で販売されるケースが増えてくると、わざわざ本を裁断し、1枚1枚スキャナーに取り込んで電子化するような「ガチ自炊派」は少しずつ減っていきました。 今回はそんな「自炊」時代を、まだまだ現役の「自炊er」でもある、「かーずSP」管理人のかーずさんに振り返ってもらいました。 「かーずSPのインターネット回顧録」連載一覧 本の置き場所がない……「そうだ、自炊しよう!」 「んー自炊って面倒くさいなー。でもやるとスッキリするんだよね」 ――と重い腰を上
会社には見やすい資料を書く人と、見づらい資料を書く人がいます。 両者を分けるのは、生まれ持ったセンスの違いかと思っていました。 ですが、「伝わるデザインの基本」という本を読んでハッと気付いたのですが、どうやら「わかりやすいデザイン」には法則があるようです。 伝わるデザインの基本 増補改訂版 よい資料を作るためのレイアウトのルール 作者: 高橋佑磨,片山なつ出版社/メーカー: 技術評論社発売日: 2016/08/05メディア: 大型本この商品を含むブログ (1件) を見る * * * たとえば、ExcelやらPowerPointで挿入する「図形」。 Excelの「挿入」から引っ張り出した図形がこちらになります。 こいつがなんかダサイのは僕にもわかります。 それで、ちょっとシャレた感じにしようと、グラデーションを使ってみたこともありました。 グラデーションされた図を見て、「美しい」と思ったもの
1879年、およそ四百五十年に渡り続いた琉球王国は日本に併合(「琉球処分」)され滅亡した。滅亡後の琉球=沖縄は明治政府の支配下で伝統的共同体の崩壊と社会基盤の弱体化を招き、移民が認められた1900年代以降、大量の海外移民が送り出されていった。1940年の統計では海外移民のうち沖縄出身者は五万七千人、数だけなら広島・熊本に次ぐ三位だが、県の人口比では広島3.88%、熊本4.78%に対し沖縄9.97%でとびぬけて多い。全国平均で100人に一人が移民となったが、沖縄は10人に一人の割合であり、1920年代以降沖縄県出身移民は全国の移民の約20%前後を占めた。その中でもハワイへの移民が非常に多い。 本書は著者が1970~80年代に行った、まだ存命の頃のハワイ移民一世~二世への聞き取り調査の記録と、琉球王国の滅亡から二十世紀初頭までの移民を押し出す要因となった社会的背景について描いた一冊である。 本
過日、弊社の店頭にお客様がお見えになり、お爺さまの本の買い取りを依頼されました。みると明治期の本で内容も面白そう。状態も明治期の本としては装丁が多少傷んでいる程度で、印刷や紙の状態も100年経ったものでは仕方がないと言うものでした。しかし、その時国立国会図書館の近代デジタル・ライブラリーの事が頭をよぎり、お客様にそのサービスについて説明し、安く買うことはお客様に失礼であることも説明しました。 翌日、そのお客様より電話があり、下記の2冊とも近代デジタル・ライブラリーで全ページ閲覧出来ることを知らされました。買わなくて良かったと思うと同時に、今まで大切に保存していた書物を適正な価格で売ることが出来なくなっている現状を痛切に感じました。同時に我々もより高く買い入れて売る機会を失っている状態に憤りを感じました。 「学海探求之指針」 明治21年3月刊行 海軍水路部編 12,519,4p 6図付 発行
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本を買ったとき、その本が死ぬことについて考える人はあまりいない。盗まれたり火事にあったり、あるいは誰かにあげたり売ったりしなければ、本はいつまでもあなたの下で生き続ける。日本の本は総じて品質が高いので、多少折れ曲がり、汚れ、黄ばんでも、読むことに支障はないだろう。それは本が絶版になろうと、出版社が倒産しようと変わらない。 電子書籍は違う。電子書籍は突然死ぬ。つまり、読者の意図せぬ形で読めなくなる。実際、これまでにいくつもの電子書籍サービスが終了となり、私たちの電子書籍が読めなくなった。これは控え目に言っても、電子書籍の弱点である。読者は電子書籍の死にどう備えるべきだろうか。そして電子書籍ビジネスは死とどう向き合うべきか。 さまざまな死のかたち ・ストアの死 お気に入りの書店が閉店になったら、他の書店を探さなければいけない(ジュンク堂新宿店……)。一方、電子書籍ストアが閉店した場合は、他のス
紙版が100万部を突破、12のストアでほぼ同時発売された電子書籍版も空前の売り上げを記録した『スティーブ・ジョブズⅠ・Ⅱ』(講談社)。同書は内容のすばらしさもさることながら、「紙でも、電子でも」買える環境を新刊刊行と同時に広範に提供した初の書籍としても、後世に語り継がれるものになりそうだ。 だがそのことは同時に、従来の電子書籍の世界からは見えなかった課題も、あぶりだすことになった。紙と電子の書籍を横断検索できる「ブック・アサヒ・コム」の運営に携わる経験から、また発売日に複数の電子書籍ストアで同書を購入した個人的体験から、現段階でわかっていることを報告したい。 中心的なテーマは電子書籍の「探しにくさ」である。 電子書籍版『スティーブ・ジョブズ』の例から考える 発売前後の経緯を簡単に振り返ってみよう。各種報道によると、講談社は同書を当初2011年11月に発売する予定だったが、10月5日のジョブ
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2011年12月21日 自炊代行を提訴する作家の偽善〜再販制度での裁断本のほうが遥かに多いゾ この7人のセンセイによる記者会見での発言内容を読んだが、時代感覚のなさ、を露呈した迷会見だったと思う。(まあ、気持ちは分かるんだけどさw)スキャン代行業者提訴で作家7名はかく語りき東野圭吾氏、弘兼憲史氏など著名な作家・漫画家7名が、スキャン代行業者2社を提訴した問題。記者会見の場で7名は何を語ったのか。紙への思い、裁断本を含めた違法コピーへの憤り、出版業界の現状や未来など、各人がそれぞれの心情を吐露した内容をまとめた。私が思うに、小説家や漫画家が目指すべき本来的なアウトプット、目指すべき達成点は、ある種のストーリーを読者の脳内で紡ぎだし、読者の心をつかみ、深く揺り動かすことであって「インクが乗っかった物理的な紙の束」を届けることではないはずだ。 このセンセイ方は、アマ同人誌の発行者ではなく、商業出
名探偵の代名詞、シャーロック・ホームズ。 全作品を合計すると60作品(長編4、短編56)にもなります。 文庫本にして9~10冊ですから、全部読み切るのはなかなか大変です。 原作の著作権はすでに切れていますので、英語のテキストは数多くのサイトで公開されていますが、 邦訳はほとんど著作権が残っており、インターネット上で自由に読める邦訳はごく一部に過ぎません。 このサイトでは、既存の著作権に抵触しないように、全ての作品を改めて原作から翻訳し直して公開しています。 初出誌のストランドマガジンに掲載されたシドニー・パジェットのイラストも、ほぼすべて掲載してありますので、パソコンや携帯から、存分に世紀の名探偵シャーロック・ホームズの魅力をお楽しみください。 Tweet
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