子宮頸がんワクチン導入以前からこうした少女たちを診察してきたある小児科医はこう語る。 「治療を一言で言うのは難しいのですが、丁寧に子どもと向き合い話を聞いていくこと、その中で抑圧されていた不安や不満が徐々に表出されるのを待つことです。決して原因をほじくりだすような作業ではなく、寄り添い続けることで子どもが抑圧していた気持ちをふと語り始めることがあります。一方、身体に表現されている症状について否定したり『心因性だから』と片付けたりするのも問題です。こうした対応を行うと、大抵の場合は症状が悪化します。大事なのは今、彼女たちが置かれている環境が身体的な表現しか許していないと考え、その状態に付き合い続けることです」 科学的に正しいことを伝えても 治療の助けにならない場合がある そして、その医師は私にこうも告げた。 「科学的に正しいことを『これが正しい診断です』と患者さんや家族に伝えたとしても治療の