がん治療の現場で、水戸黄門の印籠のように絶対のパワーを持っている「エビデンス」。がんの標準治療(手術、抗がん剤、放射線)はエビデンスがあるとされるが、それ以外は「怪しい治療」だと十把一絡げに否定されがちだ。しかし、標準治療では効果が出ない患者も少なからず存在する。海外ではがんゲノム医療や免疫療法など、新しい治療法が次々に試されているのに、日本の医療界は「エビデンス原理主義」に凝り固まり、患者を追い詰めているのが現状だ。(ノンフィクションライター 窪田順生) 【この記事の画像を見る】 ● ビジネスでも定着 「エビデンス」重視の風潮 「明日の商談でちゃんとエビデンス取っとけよ」「そこまで言うのならエビデンスを示せ」 なんて言葉が皆さんの職場でも当たり前のように使われていることだろう。昭和のサラリーマンはピンとこないだろうが、主に「証拠・根拠」の意で使われる「エビデンス」は、今やすっかりビジネス