シリコンバレーのリーダーたちやソーシャルネットワークを「罪人」を一刀両断、「人工知能は幻想だ」と断言する、若き天才哲学者マルクス・ガブリエル。彼は哲学だけが私たちを救うことができるのだという。 ボン大学国際哲学センターの美しい学生寮の廊下を、世界中の若者たちが歩いている。彼らは“哲学界のロックスター”として注目を浴びるマルクス・ガブリエルの指導のもとで「考える」ためにやってきた、ポスドクたちだ。 ガブリエルは、「新実在論」を説く一人であり、地に足のついた思想家だ。彼は日々のぬかるみ──政治、フェイクニュース、デジタルの導師たち、そしてドナルド・トランプ──の哲学的側面に興味を持っている。 そして彼は、哲学はいままでになく必要とされていると主張する。思想家たちは、彼らを取り巻く世界を“診断”するだけでは充分ではない。彼らはそこに変化を起こそうとしなければならないのだ、と。 「哲学者として、私