経済協力開発機構(OECD)の事 務次長で、前財務官の玉木林太郎氏は「急激な為替変動は円高であれ円 安であれマイナスだが、円高への恐怖が強迫観念になり過ぎて、円高に なればなるほど株式相場が下がり、人々が悲観的になるという社会構造 を維持したままでいると、政策判断ミスの元になる」と警告する。 玉木氏は2009年7月から2年間、財務官を務め、11年8月に OECD事務次長に就任した。前月29日に行ったブルームバーグ・ニュ ースとのインタビューで、日本では円高が悪で円安は善であるという認 識が強いが、それはいつくかの思い込みによるものであり、日本経済に とっては、円高よりも、むしろ資源高による国民所得の流出の方が大き なダメージを与えている、と主張する。 円高になると、輸出企業の手取りが減るが、同時に輸入のコストを 下げる。玉木氏は「日本経済全体にとって、もし貿易収支が均衡してい れば、プラス