故郷を離れ、高齢者グループホームで働くマドカさん。商店街でホームに飾る花を買うこともある=東京都内で2020年11月11日午後1時18分、山田奈緒撮影 「中学生のころ、毎日、母を殺そうと思っていました」。27歳のマドカさんは記者に向かってためらいなくそう言った。マドカさんの子ども時代、母はかつて「ピック病」と呼ばれた前頭側頭型認知症を患った。性格の変化や行動異常があるとされる母の病を受け止めきれず、心がすさむ日々を送った。神戸市で起きた介護殺人のニュースに、母に殺意を抱いたかつての自分が呼び起こされたという。【山田奈緒】 「突然」変わった母 暴言と暴力 母は44歳でマドカさんを産んだ。マドカさんが10歳の時に父は病で亡くなり、仙台市の家で母と2人暮らしになった。ママ友を家に招くなど、社交的で明るかった母の異変は「突然」に感じられたという。中学1年のマドカさんがアイスを食べていると、母から平