サイリウムに触ったのは初めてだった。プラスチック容器の中の芯をポキっと折ると、サッと光り出す。もっと時間が掛かるものだと思っていた。その変化は鮮やかで、それでいて光は淡く、美しかった。21世紀のアイテムだと感じた。 でも、そうやってせっかく用意したサイリウムを私はほとんど振らなかった。席は狭いし、ステージを見ることに集中したかったからというのもあるけど、何よりも「光る棒を振る」というのは実際にやってみるとなんだかまるで幼児をあやすかのようで、出演者をバカにしているように思えて途中でやめてしまった。でも出演者にとっては、サイリウムの光の波がうねる光景がなによりの応援になるものだということはアニメでもよく描き表されていたし、実際そのようだった。ステージそのものではなく、会場の一体感を楽しんでいるようだった。会場の全員が知っている曲を歌い、しきりに観客に合いの手を呼びかけ、観客も一体となってそれ
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