当時のインターネットはまだ「オタクの裏情報ネットワーク」だった。 漫画と言えばジャンプ、ゲームといえばプレステ、という程度の地方のガキが、 大学のオタサーにでも入らなければ知れないようなディープな情報を得ることができた。 しかし現在のように「何でも知りたいことを知ることができる」ものではない。 曖昧模糊とした噂話が広がり、実態を掴むことができないもどかしさがあった。 「月姫というゲームがすごいらしい」というのもその一つだ。 それはさながら「伝説のエロゲ」だった。 たった二人で作った同人ゲームらしい。 あまりの面白さにクチコミで広まったらしい。 そして熱狂的なファンを生み出したらしい。 もちろん同人ゲームなんてそう簡単に入手できるはずもない。 現在とは違ってスクショの一つですら共有するのは大変な時代だ。 コピーが出回っていたとか言っている奴もいるがそれもたかが知れている。 多くのオタクは月姫