【ベルリン=宮下日出男】ロシア・サンクトペテルブルクを訪れたメルケル独首相とプーチン露大統領が21日、旧ソ連が第二次世界大戦直後にドイツから略奪したとされる芸術品をめぐり、“論争”を繰り広げる一幕があった。 エルミタージュ美術館の青銅器時代をテーマとする特別展の開幕式に出席したメルケル首相は、展示品の一部はドイツのものであると指摘し、「ドイツに戻されるべきだ」と主張。プーチン大統領は「ベルリンだろうがサンクトペテルブルクだろうが、どこで見られるかは一般市民には重要でない」と反論し、返還要求を取り下げるよう求めた。 独政府は旧ソ連が戦後、100万点超の芸術品などを持ち去ったとの見解で、返還問題は今もくすぶる。メルケル首相のこの日のあいさつは直前に一旦、中止となり、ロシア側がこの問題への言及を嫌がったためだと独メディアが大きく報じる騒ぎもあった。