筑波大学名誉教授 中 川 八 洋 村上春樹の2009年ベストセラー小説『1Q84』は、1949年に出版され世界的な反響を呼んだジョージ・オーウェル『1984年』から、タイトルを借用している。ジョージ・オーウェル(本名エリック・ブレア)は、この書を1948年に執筆し、最後の数字二桁「48」を転倒させ「84」とした。スターリン全体主義体制批判の小説だが、悪魔より恐ろしい共産主義者の「転倒言語」がモチーフだからである。 (備考) タイトルは著作権法の保護対象ではなく、村上のタイトル借用は、著作権法違反にはならない。 戦後日本では「保守」とは、“反共・反露・親英米・皇室尊崇”のイデオロギーをもって共産党・社会党と対決する「反・革新」を意味していた。すなわち、戦後日本の「保守」は、1990年代から日本の論壇を我が物顔で闊歩する“カルト「大東亜戦争礼讃」教”を信仰する、おおむね低学歴の無教養人が屯