木庭顕が協力した朝日の記事に対して一部から「今更のヨーロッパ中心史観」「中世・イスラーム無視」とか頓珍漢な噴き上がりがあったようだ。後者については「紙面が限られていることを無視したないものねだり」ですませてもよいし、そもそもイスラームが古典期ギリシア・ローマの継承者であり、後期中世と人文主義における古典受容がそれを経由していることなど別に言うまでもない前提だろうと茶々を入れてもよいのだが、前者についてはそうもいかない。 ここではっきり言っておくと、木庭史観は当然ながらものすごい「西洋中心主義」である。ただしそこでいう「西洋」とは「古典期ギリシア・ローマの継承」くらいの意味である。そのように考えたとき、日本人は当然のこととして西欧人もまた「西洋によって知的に植民地化され教化された蛮族」に他ならない。「政治とは何か、法とは何か」を絶えず問い返しつつ実践することなしには、誰も「西洋の正統なる継承