今年は明治維新から150年。大河ドラマで西郷隆盛が取り上げられるとあって、昨年から“西郷本”の刊行が相次いでいる。西郷隆盛とは実際にはどういう人物だったのか。それを知るには、どの本が適しているか。維新前後の歴史に詳しい町田明広・神田外語大准教授にお薦め本を挙げてもらった。 下級武士から維新の功労者へと駆け上がりながら、西南戦争で死んだ悲劇性もあって、坂本龍馬と並びファンが多い西郷。ところが、維新全体の中で西郷が実際に果たした役割というと、意外とすぐには答えられない人が多いのではないかと町田准教授は言う。 明治に刊行された勝田孫弥著『西郷隆盛伝』を始めとする数冊のバイブル的存在の本によって、度量の大きい“大西郷”のイメージが形作られ、独り歩きしてきた。最近刊行された本も「多くは既存のイメージを踏襲している」。 ところが研究現場では、1970年代から、島津家の史料が『鹿児島県史料』として刊行さ