2月下旬に複数の首都圏鉄道で女性専用車両に反対する男性たちが女性専用車両に乗り込み、降ろそうとする女性客や駅員とトラブルになる事件が相次いだ。わが国の女性専用車両はすでに定着したかに見えたが、トラブルの火種は消えていないようだ。“組織学者”として知られる同志社大学政策学部教授の太田肇氏が、改めて女性専用車両の「正義」を問う。 * * * 首都圏にかぎらず、私鉄でも公営の地下鉄でも女性専用車両の設置は進んでいる。専用車両のおかげで女性が快適に、安心して乗車できるようになった。そして大半の男性もそれを抵抗なく受け入れている。 しかし、公然と「痴漢被害を防ぐため」と口にしたとたん、火種がくすぶりだす。 そもそも特定車両だけを「女性専用」にしたからといって、痴漢の被害をなくせるわけではない。とりわけラッシュ時などは、混み合った普通車両に乗車する人たちが痴漢に遭う危険にさらされている。痴漢の被害に遭