久しぶりに包丁を研ぐ。ある刃物のプロショップが,料理学校の生徒算用に数を揃えたものの一部をまわしてもらった。故にそんなに高くない。高くないが,日本刀の刀鍛冶で,料理包丁に転向して高い評価を受けた方の作と聞く。小さく銘が入っている。 ワイフと結婚する前から使っているが,背面まで刃金の身が入っている。極小になるまで研いで使っていってもずっと使える品。 購入するとき,プロショップのオヤジさんが,「本当に切れる状態を見せてあげるね」と言ってみせてくれた。プロが磨いだばかりの状態で,髪の毛を挽くだけで落ちる。 いわゆる重ねの技術で側金の紋様もそれらしいが,恐るべきことに,サンドイッチ構造の両刃であるにもかかわらず,僅かに刃身を傾けてあり,片刃様に仕立ててある。桂剥きなどにおいても使いやすくできているハイブリッド構造で,この傾斜が絶妙。本当の意味でのプロは,包丁を複数本持ち使い分ける訳だが,むしろ私の