育鵬社版の公民教科書は、 国家に貢献できる人材づくりを目指したものだ。そして、前回検定版にも増して、改憲にむけての動きを作り出そうという狙いが 明白な作りである。 冒頭で「グローバル化」を扱うが、そこでは 国の歴史、伝統、文化を踏まえた存在こそが「グローバル人材」であると定義づけられる。その主張を強化するために、 曽野綾子氏の「よき国際人であるためには、よき日本人であれ」という文章が掲載されている。 他の章でも、 愛国心や国家への意識の重要性が 強調されている。 日本国憲法の解説として「国民主権と天皇」と題された節があるが、 その中に「国民としての自覚」という項目を新設。「国民」の(権利ではなく)義務と責任を強調している。同項のコラムには、東日本大震災の被災地で黙祷する天皇皇后の写真とともに、「日本の歴史には、天皇を精神的な支柱として国民が一致団結して、国家的な危機を乗り越えた時期が何度も