農林水産省が熊本県産山(うぶやま)村に建設している農地かんがい用の大蘇(おおそ)ダムで、ダム湖の水が想定以上に地下に浸透して計画通りに貯水できず、2009年度から予定していた給水を出来ない事態となっている。 同省は、08年度の事業完了を1年先延ばしして対応を検討するが、給水開始の見通しは立っていない。同省の不手際に対し、受益農家や識者からは批判の声が上がっている。 地元の同県阿蘇市などによると、ダム湖の地質は主に阿蘇山の噴火に伴う火砕流の堆積(たいせき)物で水を通しやすい。同省は、同規模のダムと比べて約3倍の約730か所でボーリングを行うなどの地質調査を実施したうえで着工。浸透対策として、ダム本体周辺やダム湖の岸で地中にセメントを注入するなどした。 しかし、ダム本体完成後の05年から始まった貯水試験で、1日の浸透量が想定(2500トン)の16~2倍の4万~5000トンに上り、農地への給水に