「ガヴァナンス」というのは、注意を要する言葉である。ヤクザ者が占拠している地域だって、ガヴァナンスといえばガヴァナンスである。同様に「多元性」というのも慎重に扱わないと、単なる偽装した地方切捨てだったりする場合もある。 私は以前、「一票の格差」は中央と辺境の格差を是正する上で、必ずしも悪いものではないと書いた(『一票の格差についての別論』)。これは私だけの意見ではない。エドマンド・バークが演説の中で言っていたのだ。当時のイングランド・スコットランドは人口の偏りが大きく、票の格差を本気で是正すると、地域間の格差が深刻になり、それが国家の分裂につながるのだと。利益の違いが大きくなりすぎると運命が違うものになる。運命が違うというのは、個人でいえば「他人」であり、国家でいえば「外国」である。中央と辺境の経済と人口の格差がある以上、票で是正するしかないわけで、これが耐え難いのであれば、中央政府は、そ
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