インドの研究者によるとみられる学術論文の大規模な全文盗用が発覚した。盗用された論文は207本と類を見ない数で、日本の論文6本も含まれていた。被害に遭った複数の日本の研究者からは、憤りや当惑の声が上がった。 兵庫県立大の石垣賢卯(けんと)特任助教(物性物理学)は、東京大物性研究所の博士課程に在籍中の2019年、低温高圧下で物質の性質を測定するための装置の開発に関する論文を、アルゼンチンの物理学の学術誌に発表した。 ところが石垣さんは22年4月、ネット専用の学術誌に、これと同じ内容の論文が掲載されているのを偶然見つけた。「インターナショナル・ジャーナル・オブ・リサーチ・イン・エンジニアリング・アンド・サイエンス(IJRES)」という、初めて耳にする学術誌だった。 タイトルと著者名こそ違っていたが、19年の論文と概要、序論、結論などが一言一句同じ内容で、図表もそのまま掲載されていた。著者はインド