「くじ引き民主主義」の試みが欧州で広がりをみせている。フランスでは、全国から抽選で選ばれた一般市民150人が脱炭素社会の道筋について話し合い、政府はその結果を基に国民投票を実施することを約束した。なぜ今「くじ引き」が必要とされるのか。日本での展望は? 欧州政治に詳しい北海道大の吉田徹教授と考える。【聞き手・八田浩輔】 疲弊する代議制民主主義 ◆欧州では抽選で選ばれた一般市民が国家や地域の課題について討議する手法が広がっています。「くじ引き民主主義」が広がる背景には何があるのでしょうか。 ――代議制民主主義が機能不全を起こしているためだ。多くの先進国で政治家や政党不信が高まっており、フランスの世論調査では政治家は有権者のことを顧みていないと答える人は8割に達している。トランプ現象やブレグジット(英国のEU離脱)など欧米でのポピュリズムの台頭は、代議制民主主義が機能不全を起こした結果だ。「くじ
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