『エミール』 ルソー著 今野一雄訳 岩波文庫(3分冊) 青-622 教育の話をするのなら、先ず『エミール』でしょう。と言う訳で、近代教育学の祖、ルソーの『エミール』の紹介です。こういう古典的名作は、あちこちの出版社からいろいろんな形で出版されているんでしょうが、一応私が読んだものと言う事で、岩波文庫版を紹介します。 「消極教育」。これがルソーの教育論の根本理念です。と言っても、ルソー自体がこの言葉を使っている訳ではありません。ルソーの思想を理解しようとする後の研究者が、ルソーの教育理念をこのような言葉で表現した訳です。 『万物をつくる者の手をはなれるときすべてはよいものであるが、人間の手にうつるとすべてが悪くなる。』(上巻P23)こういう書き出しでこの本は始まります。よく、教育や躾について話す時、性善説とか、性悪説とか言うんですが、ルソーは性善説です。彼は性善説の教育論の創始者と言って良い