1979年から11年間の長きにわたり、イギリスの首相を務めた、マーガレット・サッチャーさんが4月8日に亡くなられた。ご冥福をお祈りします。 僕は、サッチャーさんにインタビューしたことがある。彼女は、「鉄の女」という異名にたがわず、非常に率直な発言をする方だった。最も印象に残っているのは、「私には後悔という言葉はない」とはっきり言い切った言葉だ。 サッチャーさんの最大の業績は、「イギリス病」を荒療治するため、サッチャリズムと呼ばれる大胆な改革を推進したことだろう。当時のイギリスは、「ゆりかごから墓場まで」という言葉に象徴される、手厚い社会保障政策を行っていた。こうした政策は、財政にとって重すぎる負担となっていた。そのうえ、手厚い社会保障は国民に「甘え」を生じさせる。その結果、経済は低迷していた。イギリスは病んでいたのだ。 そこでサッチャーさんは、「まずは国民一人一人の自助が必要」という方針を
近ごろニュースを見ていて思うのは、視聴者に迎合して、人気取りのような 報道ばかりになっているということだ。 人びとの関心を集める手っ取り早い方法は、ネガティブな情報を流すことである。 誰かを叩き、秘密を暴く。 そうすれば番組の視聴率はあがり、スポーツ紙や夕刊紙、雑誌の売上部数も伸びる。 だから、テレビも新聞も雑誌も、問題の本質をとらえないで、表層的な バッシング情報を流し、ネガティブな言葉を繰り返す。 正しいか間違っているかは関係ない。みんなが見てくれるから流す。 しかもバッシング情報の報道は、正義の味方的なスタンスをとれるので、 メディアもいっそうその傾向を 強めていく。 だから、小沢一郎さんや東京電力のように、一度、悪者ということになれば、 徹底的に叩くようになるのだ。 そして、誰かを悪者にするのは、とても簡単なことでもある。 最近では、お笑い芸人がネットを中心にバッシングを受けている
2月27日、エルピーダメモリが会社更生法の適用を申請した。 エルピーダメモリは日本における唯一の半導体のDRAM(ディーラム) 専業メーカーである。 世界第3位の企業だった。そのエルピーダメモリが、経営破綻したのである。 ところが、社長の坂本幸雄氏はそのまま続投するという。 民事再生と異なり、会社更生の場合、経営陣が退任するのが一般的である。 しかし、今回は経営陣の一部が残る「DIP型会社更生」を目指すようである。 しかし、なぜ社長続投なのか。 「坂本社長の代わりになる人がいない」 それが理由らしい。 いまの半導体業界には、経営者らしい経営者がいないのである。 この事態は深刻と言えよう。 なぜなら、日本の大手電機メーカーが総崩れになっているのと同じ理由が、 ここにあるからである。 エルピーダの経営破綻の背景と同じ構図があるのだ。 いま、高度成長の時代は終わり、長い停滞期に入った。 「失われ
福島原発の原子炉と使用済燃料をきちんと冷却できる目処は、まだ立っていない。 冷却装置の設置はおろか、敷地内に運び込むことさえ出来ない。 一方、高濃度汚染水の流出がつづく。 東電ははっきりは言わないが、要するに特攻隊が必要だ、ということらしい。 今、この国で特攻隊を募るのはきわめて難しい。 困惑の中、いたずらに時間ばかりが過ぎていく。 原発事故の処理は難問である。 国政の政治家達は、この難問からソッポを向いて、くだらない議論をやっている。 マスコミもこの難問を取り扱うのを嫌がっているようだ。 原発でいくか、脱原発かは、この難問を処理した後の問題だ。 原発事故については、そもそもわからない事が多すぎる。 レベル7という政府の発表が、なぜ安全委員会の判定から二十日間も遅れたのか。 事故発生直後にアメリカが協力しようと言ったのを、なぜ菅さんは断ったのか。 アメリカの無人機の情報を、なぜ一週間以上も
4月3日の日曜日に、孫正義さんの主催で原発設計者を招いて原発問題について熱く語った。 一人は、元日立の人で、福島原発の圧力容器を作った田中三彦さん。 その外側の格納容器設計の責任者で、元東芝の後藤政志さんがもう一人である。 何が一番問題になっているのか。 1985年、御巣鷹山に日航ジャンボ機が墜落した。 どうして墜落事故が起きたかと言うと、日航機の垂直尾翼が崩落したためである。 垂直尾翼がなくなれば、パイロットはどうすることもできない。 田中さんと後藤さんの話だとそれと同じ。 東京電力はパイロットである。運転しているだけで、作ったわけではない。 作るのは東芝や日立であって、東電は運転するだけ。 だから、どこかに欠陥があるかわからない。 この問題が大きい。 実は、日立や東芝は福島の原発を作った後、2度3度、東電に注文している。 「ここを直したほうがいい」「ここはまずいのでは」と。 ところが東
日中戦争や、太平洋戦争で新聞やラジオが戦争を煽るように書き立てた事が、 今問題になっている。 新聞が戦争を礼賛し始めた最初は日露戦争である。 日露戦争の始まる前、実はほとんどの新聞が戦争反対だった。 ところが戦争が近づくと戦争反対の新聞はどんどん売れなくなった。 経営が危なくなった。 そこで、どの新聞も戦争礼賛に転向した。 特に萬朝報は最後まで戦争に反対したが、 倒産の危機を迎えて結局戦争賛成に変わった。 これをきっかけに戦争が近づくと、日本の新聞は戦争を賛美するようになった。 満州事変、日中戦争の時もメディアは戦争礼賛になってしまった。 戦争を礼賛すればするほど、よく売れるのである。 そこで大新聞がみんな戦争礼賛になると、雑誌や小新聞に対して 政府は過酷な弾圧を加えるようになった。 それでも反対すると、監獄にぶちこむ。 こういう状態で太平洋戦争を迎えるのである。 もちろん新聞社の中にも、
田原総一朗です。 いま悲観論ばかりが世の中に氾濫している。 たとえば不況だとか、GDPがマイナスになったとか、 借金が900兆円だとか、就職確定率が70%いかないとか。 日本のマスコミも悲観論が好きだから、悲観論の話題ばかりになっている。 だから今日は明るい話をしたい。 先日、僕のとても仲の良い経産官僚と会った。 彼は、なぜ日本は悲観論ばかりなのだろうか、 日本にとってこんな明るい時代はない、 こんなチャンスはないんだと言っていた。 日本は限りない超大国になった。 超大国になったという意識を、なぜ日本人は持てないのか。 たとえば、これからは中小企業の時代である。 中小企業こそ、これからは繁栄する時代なのだ。 中小企業こそが、いまチャンスなのである。 今までは国内に工場を作ったり、お店を出してきた。 これからはベトナムに出ていけばいい。インドネシアでも、中国でもいい。 アジアどこでも作ればい
マスコミのモラル欠如について。 特権意識や拝金主義のデメリットが如実に発露した典型的な業界なのかと推察しております。 組閣後の記者会見等、記者の言動がリアルタイムに露呈する機会は少なくありません。報道各社の社名と氏名を名乗って質問する記者の稚拙で無礼な言葉遣い。また彼らを会見場に送り込むにあたって注意や指導すらしてないであろう上司や上層部の危機感や思い上がりなど、質問や答弁そのものよりも気になって仕方がないのです。 これじゃあ正しい報道はおろか、売れる記事の取材も出来ないと思えてなりません。 そういうセンスの欠如もまた、報道の腐敗の一端だと考えております。 メディアに扇動された「政権交代ありき」の報道。報道各社は選挙特番/紙面のための選挙くらいにしか考えてないのでしょうか。思い上がりも甚だしい。これについてはここ何度かの国政選挙前後の報道を検証すれば一目瞭然です。 田原さん、初めまして。夜
Loading... 田原総一朗です。 チェンジという言葉で登場したオバマ大統領が 下院選挙で惨敗した。皮肉にも、 オバマ否定のチェンジが起きたのだ。 2年前にあれほど大歓迎されたオバマ大統領が なぜソッポを向かれたのか。 僕は民主主義の恐さをつくづく感じた。 オバマは環境で新しい雇用を生むと言い 環境産業に政府予算をどんどん投入した。 しかし、失業率は高まるばかりだった。 民主主義とポピュリズムの難しさを痛感する。 ポピュリズムとは、国民にうけるということだ。 鳩山首相が 普天間基地を県外に移すと言ったのも ポピュリズムだった。 沖縄県民にうけようとして 沖縄県民を裏切ってしまった。 今、政治は世論調査の支持率を あげようと必死になっている。 これもポピュリズムだ。 菅首相が雇用を増やすと叫んでいるのも ポピュリズムである。 ポピュリズムは結局、 自分の首をしめてしまうのだが、 ポピュリ
田原総一朗です。 予算委員会での自民党の質問は 上げ足取りや重箱のすみをつつく様な質問ばかりで、 物足りなかった。 とにかく民主党の大臣、特に菅首相を何とかして怒らせよう と言う狙いが見え見えすぎる。 新聞も菅氏が怒れば、イラ菅といい、 怒らないと男らしくない、逃げていると批判する。 国民が今、強く関心を持っている事にはまるで触れられていない。 円が81円台になったのに、なぜ為替介入をしないのか。 年金の行方不明の問題はあるが、 それ以上に30代、20代の年金は破綻している。 誰もこの問題に触れない。 どうなっているのか。 石破氏の質問は民主党の痛い所を突いていた。 船長の釈放は実は検察に委ねたのではなく、 官邸が政治判断で決めた。 そうでなければあんなに早い釈放は出来ない。 多分アメリカ側から釈放しろと言われたのだろう。 石破さんはビデオテープを公開すべきだと言っている。 これは民主党に
僕は、「小沢出馬はない」と強く思っていた。 ところが、鳩山さんは一夜で菅支持から小沢全面支持にひっくり返った。
参院選を直前に控えて 民主党が非常に苦戦をしている。 朝日、読売はじめ各紙の予想では、 なんと民主党は50議席を割る可能性が強いようだ。 その主たる原因は消費税にある。 菅首相は自民党が消費税10%を打ち出したのを受けて、 民主党も10%と言う数字を表明した。 これが菅内閣の支持率を下げるきっかけになった。 朝日新聞では当初は60%あったのが、ついに39%となり、 読売新聞は64%あったのが、45%となった。 振り返れば、消費税を打ち出した首相は いずれも失脚している。 消費税を導入した竹下登首相、 消費税を3%から5%にあげた橋本龍太郎首相。 消費税を上げることに対する国民の反発は凄まじい。 一つには、菅首相は周到な用意もなく 唐突に引き上げを発表した。 朝日新聞、読売新聞をはじめ全国紙は 消費税値上げを認め、反対意見は皆無だった。 全国紙、そしてテレビも 消費税についての本腰を入れた論
今、民主党の中で鳩山首相退陣論が爆発的に起きている。 特に、7月の参議院選挙で再選を狙う議員達から、悲鳴のように噴出している。 このままでは民主党は参議院選で極めて厳しい。 30台の議席しか取れないかもしれない。 そこで参議院改選組にとっては死活の問題である。議員は落選したらただの人になる。 特に、輿石参議院会長は日教組を母体に当選している。 日教組の中には社民党支持の人たちも少なくない。 彼らが選挙協力しなければ当選は難しい。 そこで、参議院改選組は何とかしなければ、と慌てふためき鳩山退陣論が噴出してきた。 今日、鳩山小沢会談が行われる。 問題は小沢さんが鳩山退陣に踏み切るかどうかだ。 小沢さんが踏み切れば、党内は退陣色が半分をはるかに上回る。 だが、問題は鳩山さんが退陣して後継総理を誰にするかだ。 仮に、菅さんや原口さんが総理になっても参議院選挙は負ける。 負ければ総理は辞めなければな
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