最近、なんだか自分の「まち」が住みにくくなったと感じることはないだろうか? その原因は、人口が減少し、空き家が増加するなかでなお過剰につくられる住宅そのものにあるのかもしれない――。 そんな不動産業界の「不都合な真実」を明かした一冊『老いる家 崩れる街』が話題を呼んでいる。発売1週間を待たずしてたちまち重版が決まった本作の著者・野澤千絵氏が、タワーマンション・戸建て住宅が、無計画かつ無秩序に建ち続ける日本社会の末路を憂う。 東京五輪に沸く湾岸エリアの「リスク」 「湾岸エリアはタワーマンションを建て過ぎですよ……。これからさらに建てられたら、自分たちの住宅の資産価値が低下してしまう」 「自治体は、今建っているマンションの資産価値を守ろうという意識はないのか……」 これは、東京湾岸エリアのタワーマンション所有者から、実際に聞かれた嘆きである。 湾岸エリアは、右を見ても左を見てもタワーマンション