主に地方自治体が設けている公共図書館で、電子書籍の導入が進んでいない。東京都千代田区立図書館が国内で最初に閲覧サービスを始めてから今年で10年になるが、全国での導入率は4%にとどまるとの調査結果もある。図書館に足を運ばなくても閲覧できる電子書籍の利便性が、生かされていないのが現状だ。 千代田区立図書館の場合、事前登録すると、インターネットを通じスマートフォンなどで一度に5冊まで読める。端末には一時的な保存しかできず、期限の2週間を過ぎると閲覧できなくなる。 電子出版制作・流通協議会の昨夏の調査では、全国にある公共図書館の中央館1352館のうち閲覧サービスを実施しているのは4%の53館。回答率は40%程度だったため実際はもっと多い可能性があるものの、協議会は「前年からの伸びが小さく、普及のペースは遅い」と指摘する。 導入が進まない理由は「価格が高い」との回答が最多だった。