葬送の方法が多様化するなかで広がる散骨。そのために骨を粉にする「粉骨」を遺族自らの手でやりたいと希望する人が出てきた。そんなニーズを受け、機器をレンタルする業者や作業の「助っ人」も現れた。 昨年9月。千葉県八千代市のパート女性(55)は、自宅の居間でブルーシートを広げた。娘2人と息子夫婦と一緒に、骨つぼから夫の遺骨を取り出した。緊張した面持ちで長男(27)が言った。「まさかおやじの骨を砕くことになるとは」 棒で大きめの骨を崩し、レンタルした粉骨器でひとかけらずつたたく。女性は互いに老いたと思っていたが、骨は硬く、量も多い。「まだしっかりしてるのね」。心の中で声をかけた。