避難指示が解除された実家の車庫で、昼食を食べる小椋秀利さん。所有する農地の一部は避難指示が続く=福島県飯舘村で2023年5月1日午後0時11分、渡部直樹撮影 東京電力福島第1原発事故による福島県飯舘村の帰還困難区域のうち優先的に除染やインフラ復旧が進められた特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示が1日、解除された。原発事故から12年がたちようやく帰還の環境が整ったものの、古里に帰る日を待ち望みながら避難生活中に亡くなった住民もいる。その遺志を継いでこの地で再起を誓う男性の姿があった。 新緑の阿武隈山系から運ばれる穏やかな風を感じながら、古里の香りを胸いっぱい吸い込んだ。小椋秀利さん(73)はこの日、村南部の長泥地区にいた。原発事故で拡散した放射性物質によって原発から約30キロ離れているにもかかわらず村で唯一、帰還困難区域となった地区だ。