とかく経済的な豊かさというものはネガティヴに語られます。世界の中で日本だけが成長を止め、貧困化が進んで久しい現在もなお「成長のツケ」だの「豊かさの弊害」といった類の言説は頻繁に、そして得意気に繰り返されてきました。経済的な豊かさは、何か他の(日本人にとって)大事なものを損ねる負の要因として位置づけられてきたわけです。経済的な豊かさよりも精神的な豊かさの方が大事だ、そういう理想を追求してきた結果として今に至るのかも知れません。この十数年来の経済停滞は、理想へと近づく過程でもあったのでしょう。 我々の社会が経済的な豊かさを否定して精神面の豊かさを追い求める中、貧しくとも心だけは豊かな人が増えてきたように思います。つまり、実態として経済的には貧困だけれど、心は富裕層もしくは経営層である、そんな人が多いのではないでしょうか。いかに貧しくとも富裕層の心は失わない、そうして高所得者の視点もしくは経営者