「CMの最初の一滴」(2016年3月4日付日経新聞夕刊) 私の一応の専門は、広告史である。 広告の起源については、諸説乱立しており、実のところ判然とはしていない。パピルス文書やポンペイ遺跡の壁面に広告文らしきものが見られるだとか、日本でも絵巻物の市の風景に看板が描かれている、コピーライターの開祖は平賀源内である等々。話としてはおもしろいが、いくら広告の源流を求めさかのぼったところで、広大な歴史の森の中で迷子となってしまうだけであろう。 その点ラジオやテレビのコマーシャルとなると、音声や映像自体は残っていなくとも、放送の開始やそこでの広告のあり方を史料で跡づけることも可能である。 そんな興味から、先日台湾を旅行した際、二二八和平公園内の「台北二二八紀念館」を訪れてみた。 二二八事件とは、1947年に台北から台湾全土へと広がった民主化運動のことである。時の国民党政府(とその台湾行政長官)に反発
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