原子力発電所の運転停止などを求める訴えは昭和40年代後半から各地の裁判所で起こされていますが、「周辺住民の健康や生命への具体的な危険があるとは言えない」などとして退けられてきました。 こうしたなか、4年前の東日本大震災で東京電力福島第一原発の事故が起きました。未曽有の原子力災害で多くの周辺住民が先の見えない避難生活を強いられ、不安が現実のものとなりました。改めて原発の安全性を問う動きが広がりました。同じ年の7月には、全国の原発訴訟に関わる弁護士が参加して「脱原発弁護団全国連絡会」が結成され、住民などが集団で起こした訴えや仮処分の申し立ての件数は、事故前より大幅に増えて現在ではおよそ30件に上っています。 そして去年5月、この集団訴訟で事故のあと初めての判決が言い渡され、福井地方裁判所は福井県にある大飯原発の3号機と4号機の運転差し止めを命じました。判決は、「自然災害や戦争のほかに生存に関わ