タグ

ブックマーク / himaginary.hatenablog.com (14)

  • 航空事故とフォーク定理 - himaginary’s diary

    今回の羽田の航空事故を巡り、事故の刑事責任の追及が自動車事故などに比べて緩やかなのはやはり納得できない、という声と、今後の安全性のためにはそれが当然、という現在の慣行を支持する主張が改めて持ち上がり、議論になっている。現在の慣行については、その日米比較を行ったこちらの服部健吾氏の論文が参照されることが多いようだが、同論文では現在の慣行を支持する論拠として、「萎縮効果(chilling effect)」が一つのキーワードになっている*1。そこで「chilling effect accident criminalize」で検索を掛けてみたところ、Flight Safety Foundation*2のPresident兼CEOのHassan Shahidiが2019年5月17日に書いた「Criminalizing Accidents and Incidents Threatens Aviatio

    航空事故とフォーク定理 - himaginary’s diary
  • 2人のフィールズ賞学者が望月論文に抱いた違和感 - himaginary’s diary

    今月初めにフィールズ賞を受賞したピーター・ショルツ*1が、京都大学の望月新一教授によるabc予想の証明に問題点を見つけた、という話をこちらのツイート経由で知った。ただ、ショルツのその指摘を望月氏は認めておらず、今年3月に京都で直接顔を合わせた際も議論はすれ違いに終わり、両者の意見は今のところ平行線を辿ったままだという。 なお、前記のツイートのリンクを辿っていくと(ネイチャー記事→Peter Woitというコロンビア大の数学者の7/17付けブログ記事→同氏の昨年12/16付けブログ記事(の追記))、匿名のシカゴ大教授のブログ*2「Persiflage」の昨年12/17付け記事へのコメントという形で、ショルツ自身の見解*3を読むことができる。この件(というか数学全般)について小生は完全な門外漢ではあるが、専門用語の訳をグーグルさんに頼りつつ、以下に紹介してみる。 Thanks for the

    2人のフィールズ賞学者が望月論文に抱いた違和感 - himaginary’s diary
  • 貿易戦争とネイピア数 - himaginary’s diary

    6/17エントリでクルーグマンが、貿易戦争の帰結について考察し、以下の予測を行っている。 関税は30-60%の範囲となる 世界の貿易は7割減少する 世界のGDPは2-3%減少する 関税についてクルーグマンは、最適関税を理論的に導いたOssaやNicita et alの試算(Ossa=60%近く、Nicita et al=現状から32%ポイントの上昇)や、スムート=ホーリー法の45%という数字*1から、40%以上になる可能性が高い、としている。 貿易量については、こちらのメモでの考察から7割減少という結果を導き出し、これはGDP比で1950年代に戻ることに相当する、としている。 GDPへの影響については、厚生損失を三角形に近似して求めた輸入減少量×1/2×関税率という式に、米国における輸入のGDP比率として15%、その減少率として上述の70%、関税率として40%という数字を当てはめ、GDPの

    貿易戦争とネイピア数 - himaginary’s diary
  • 国債入札市場から見た量的緩和の効果 - himaginary’s diary

    「The Effects of Quantitative Easing: Taking a Cue from Treasury Auctions」というNBER論文をUCバークレーのYuriy GorodnichenkoとWalker Rayが書いている(ungated版)。 以下はその要旨。 To understand the effects of large-scale asset purchase programs recently implemented by central banks, we study how markets absorb large demand shocks for risk-free debt. Using high-frequency identification, we exploit the structure of the primary mar

    国債入札市場から見た量的緩和の効果 - himaginary’s diary
  • 仕事が無くなる時:製造業の衰退と男性の結婚市場価値の低下 - himaginary’s diary

    中国ショックが米国の製造業に与えた影響に関する研究で名を馳せたDavid Autor(MIT)、David Dorn(チューリッヒ大)、Gordon Hanson(UCサンディエゴ)のトリオが、今度は製造業の凋落が結婚市場に与えた影響を研究した表題のNBER論文を書いている(原題は「When Work Disappears: Manufacturing Decline and the Falling Marriage-Market Value of Men」;ungated版)。 以下はその要旨。 The structure of marriage and child-rearing in U.S. households has undergone two marked shifts in the last three decades: a steep decline in the pre

    仕事が無くなる時:製造業の衰退と男性の結婚市場価値の低下 - himaginary’s diary
  • 日本が最低賃金を3%引き上げたら - himaginary’s diary

    という分析を行った記事がIMFブログに上がっている(H/T Economist's View)*1。この記事についてはIMFによる邦訳も用意されているので、分析結果についての文章をその邦訳と合わせて引用してみる。 Impact of the 3 percent policyWe find that an increase in minimum wages in Japan not only affects those who are working below or at the current minimum wage level—which is estimated around 10 percent of the working population—but it also increases average wage growth through various channels.

    日本が最低賃金を3%引き上げたら - himaginary’s diary
  • なぜ資本主義は無意味な職を創出するのか - himaginary’s diary

    David GraeberというLSEの人類学者が、9/27付の表題のEvonomics記事(原題は「Why Capitalism Creates Pointless Jobs」)で、ケインズの「わが孫たちの経済的可能性」*1の労働時間の予言が間違った理由について、ややマルクス主義的な仮説を立てている(初出はストライク誌の2013/8/17付記事「On the Phenomenon of Bullshit Jobs」;H/T Mostly Economics)。 以下はその冒頭。 In the year 1930, John Maynard Keynes predicted that technology would have advanced sufficiently by century’s end that countries like Great Britain or the Un

    なぜ資本主義は無意味な職を創出するのか - himaginary’s diary
    chess-news
    chess-news 2016/10/10
    10人でやっていたことを、3人でできるようになったら、労働単価が下がるから、くだならいことが仕事になるだけ損益分岐が下がるのでは。
  • 緊縮財政の一般理論 - himaginary’s diary

    クルーグマンがサイモン・レンールイスの今年5月の表題の論文(原題は「A General Theory of Austerity」)に言及している*1。 以下は同論文の結論部。 This paper has argued that there was no good macroeconomic reason for austerity at the global level over the last five years, and austerity seen in periphery Eurozone countries could most probably have been significantly milder. As austerity could have been so easily avoided by delaying global fiscal consolidat

    緊縮財政の一般理論 - himaginary’s diary
  • ATMの普及と銀行の窓口係の仕事の変化 - himaginary’s diary

    ボストン大学のJames Bessenが、IMFのFinance and Developmentで、自動化の進展と雇用の関係について考察している(H/T Tim Taylor)。そこで彼は、ATMが普及したにも関わらず銀行の窓口係の職員数が増加した例を引き、自動化が必ずしも失業につながるとは限らない、と指摘している。 ATMに普及にも関わらず銀行の窓口係が増加した理由として、Bessenは以下の2点を挙げている。 以前より少ない人数で支店を開くことができるようになったので(平均的な都市部での支店当たりの窓口係の人数は1988年から2004年に掛けて20から13に減少した)、市場占有率を上げるために銀行がより多くの支店を開くようになった(都市部の支店は43%増加した)。 この点についてTaylorは、1980〜1990年代に州内や州外で支店を増やすことに関する規制が多くの州で緩和されたことも

    ATMの普及と銀行の窓口係の仕事の変化 - himaginary’s diary
    chess-news
    chess-news 2015/03/25
    ワトソン「呼んだ?」
  • 政府は反企業的になるべき - himaginary’s diary

    とクリス・ディローが書いている。以下はその一節。 ...we must distinguish between business and markets. Business is about hierarchy and control; markets are about dispersing power. Markets are about competition, whereas business tries to suppress competition and seek monopoly power; the last thing big business wants is creative destruction. A pro-business government would seek to protect incumbents through red tape that st

    政府は反企業的になるべき - himaginary’s diary
    chess-news
    chess-news 2015/02/09
     それは、無理な話だ。国は企業と協力して他国と戦争をして、勝ってきた。そして、ソ連は潰れた。むしろ、個人が企業になって生活費が経費で落とせればと思う。
  • 日銀預け金はどこから振り向けられたのか? - himaginary’s diary

    齊藤誠氏の東洋経済論説に高橋洋一氏が夕刊フジの論説で噛みついた。一方、齊藤氏は、高橋氏への直接の反論は避けつつも、自HP上のメモという形で自らの考え方の背景を説明している。 齊藤氏は、13年度の異次元緩和による銀行の日銀預け金の増加が、同期間の銀行のバランスシートの増加、就中、銀行の資金調達源である預金の増加を上回っていることを問題視している。このことは、後者の資金調達によって賄うはずだった他の要因を異次元緩和がクラウドアウト*1してしまったことを意味するのではないか、それは信用創造機能の低下を意味するのではないか、というのが氏の問題意識である。 具体的な数字として齊藤氏は、資金循環統計の預金取扱機関から以下の数字を示している。 (資産サイド) 増減額 日銀預け金 69.2 兆円 国庫短期証券 △16.5 兆円 国債・財投債 △27.2 兆円 (負債サイド) 増減額 預金 31.0 兆円

    日銀預け金はどこから振り向けられたのか? - himaginary’s diary
  • ダドリーNY連銀総裁「うちらも失敗しちゃった。ま、日銀ほどじゃないけどね」 - himaginary’s diary

    Mostly EconomicsがダドリーNY連銀総裁*1のBIS講演を紹介している。 以下はその一節。 During and following financial crises, problems in the financial system can impair the transmission of monetary policy to the real economy. When this happens, policy may need to be more accommodative than otherwise in order to achieve its objectives. The experiences of both Japan and United States are cases in point. In retrospect, we know that

    ダドリーNY連銀総裁「うちらも失敗しちゃった。ま、日銀ほどじゃないけどね」 - himaginary’s diary
  • グレッグ君と愉快な仲間たち - himaginary’s diary

    政府間競争の必要性を訴えたマンキューのNYT論説記事が、かつてないほどあちこちで批判されている。以下はそれらの批判の取りあえずのまとめ(順不同)。 デロング 今度の大統領選挙は、政府が不公正の是正にまで乗り出すべきか否かを問う選挙だ、とマンキューは言うけれど、政府が社会保障を担うべきという点に疑問を持つ人はいない。というわけで、マンキューはこの記事でオバマに強力な支持を与えたわけだ。 Gavin Kennedy アダム・スミスは見えざる手を市場や競争と結び付けたことは無い。その点でマンキューの記事は誤っている。 Josh Bivens マンキューは自分の教科書の価格が完全に競争的な市場の需給だけで決まっているような顔をしているが、実際には政府の著作権法により守られている。 Tony Cookson マンキューが挙げた教科書の市場は、競争が消費者の利益となるという点では不適切な例示。教科書の

    グレッグ君と愉快な仲間たち - himaginary’s diary
  • ポーランドがドイツの力の行使よりも恐れるもの - himaginary’s diary

    ポーランドの外相のシコルスキ*1がベルリンに乗り込んでぶった演説が話題を呼んでいるようだ(Free exchange経由)。特にパンチが効いているのが以下の一節(こちらの日語記事でも紹介されている)。 What, as Poland’s foreign minister, do I regard as the biggest threat to the security and prosperity of Poland today, on 28th November 2011? It’s not terrorism, it’s not the Taliban, and it’s certainly not German tanks. It’s not even Russian missiles which President Medvedev has just threatened to

    ポーランドがドイツの力の行使よりも恐れるもの - himaginary’s diary
  • 1