当時の女性にとっては、未婚既婚を問わず、国王の愛人になることが最高の望みだった。国王の寵愛を受ける女性は、宮廷の大スターであるばかりでなく、フランスの全女性の上に立つことを意味したからである。 ◆王妃マリー・テレーズ ルイ14世の王妃。 ハプスブルク家出身で、いつまでもあどけなく、つねに明るく、すべての人に愛される女性であった。彼女は王に対して、終生深い愛情を捧げ、王も政略結婚とは思えないほどまともな結婚生活を送った。 1683年、王妃がこの世を去ったとき、王は言った。 「ともに生活した20年、彼女は私に何一つ迷惑をかけず、また私の意志にも逆らわなかった。……これ(死去のこと)が、妃が私に与えた初めての悲しみである」。 ◆ラ・ヴァリエール嬢 1661年、17歳で王に見そめられる。 その低音の甘い声を一度聞いたものはそれを忘れることができなかった。この田舎貴族の娘は無邪気で清純。すこしも媚び