♪あたし悲しい人形使い いくら逃げても引き戻されて著:篠田節子 写:Yang Liu/Corbis/amana images 新潮社*1 *2企画屋 矢口の口車に載って公務員を辞め、ゲームブック執筆に没頭した鈴木は、プロダクションの倒産で路頭に迷い、二人で宗教という事業を始めることにするが――コンテンツ事業としての宗教サスペンス。 信徒から金を絞り取るカルトではなく、「継続的な事業」として宗教をとらえることで、お話の内容が良心的になり、鈴木の教祖としてのカリスマ性を向上するところが何とも逆説的。 信徒がどんどん増えていく上巻は、作家が、自分の作品に疑問を抱きつつもファンの支持を獲得して大人気になっていく過程に似た、苦い成功ストーリーになっています。『シークエンス』(みずき健) *3や『ぼくの地球を守って』(日渡早紀) *4のヒットの影響で自殺を指向するようになってしまったファンに苦慮する作
めざせ イグ・ノーベル賞 傾向と対策 [著]久我羅内[掲載]週刊朝日2008年10月24日号[評者]永江朗■裏ノーベル賞は日本人多数 10月2日、アメリカのハーバード大学でイグ・ノーベル賞の授賞式がおこなわれた。今年は粘菌が意外と賢いこと(脳がないのに)を解明した中垣俊之・北海道大学准教授らが認知科学賞を受賞した。粘菌は迷路を最短距離で動けるらしい。昨年は山本麻由さんが化学賞を受賞していて、日本人は2年連続だという。 このイグ・ノーベル賞、「裏ノーベル賞」などと呼ばれることもあるが、いったいどんな賞なのか。久我羅内(くが・らない)『めざせ イグ・ノーベル賞』では、副題通り「傾向と対策」が解説されている。 同賞は1991年、科学雑誌編集者のマーク・エイブラハムズ氏が創設した。「世間を笑わせ、考えさせた」業績に贈られる。ただ笑わせるだけではダメ、というのがポイント。ノーベル賞のパロディ版ともい
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2007年03月28日04:30 カテゴリ書評/画評/品評 書評 - SF入門用ベストテン こういうの、blogで解答できるようにしておいて欲しいよね。TBそのものは受け付けるのだけど、回答欄に反映されないとねえ。はてなアイデアには要望出しといたけど。 人力検索はてな - 【SF小説】 SFの世界に飛び込もうとしている私に入門用べストテン (別に10でなくてもいいです)を教えてください。 名作というよりは、古典・定番・有名とか元ネタにな.. SFの世界に飛び込もうとしている私に入門用べストテン(別に10でなくてもいいです)を教えてください。Matzにっき(2007-03-14)最近はすっかり本を読まなくなったけど(マンガは見てるか)、 SFってのはエンジニアの基礎体力として重要だと思うな。 これに禿同なので。 そもそも、SFというと10冊というのはあまりに少ないというのが正直な感想。単一の
サムライ映画の虜になってしまった映画評論家が放つ「根本的に間違っているけど問答無用でおもしろい」大傑作! 「映画秘宝 9月号」柳下毅一郎の新刊レビュー ちくしょー、柳下さんに先を越された! 今月の映画秘宝の書評欄で、スティーヴン・ハンターの傑作「四十七人目の男」を取り上げてらっしゃった。今、(一部の)ミステリファンの話題をかっさらっている作品なのだ。 「キル・ビル」や「リトルトーキョー殺人課」をも超えるあやしげなニッポンが炸裂するというそういう作品であります。しかしなんだってハンターが……。 S・ハンターは高級紙ワシントン・ポストで映画評を担当。ピュリッツァー賞を受賞する映画評論家であり、「このミス」海外版では「極大射程」で1位をゲットする常連ランカー。その「極大射程」もマーク・ウォルバーグ主演「ザ・シューター」として映画化されるなど高名な冒険小説家だ。 しかし最近の工業製品化したハリウッ
ずっと以前、「何かを語るなら、まずは知識がないといけない。少なくとも、そのジャンルを全部読み尽くすくらいでないと……」という言説を聞いたことがある。それは確か、「SF小説を語るなら、古今東西全てのSF小説を読んでからでないと」といった文脈で語られていたように思う。 まだ少年だったぼくにとって、これはなかなか説得力のある言説だった。また、博識な人に強く憧れ、世界の全てを知りたいと思っていたから、ある意味魅力的な挑発でもあった。そのため、これを真に受けて、ありとあらゆるものを読んだり見たりした時期があった。 特に中学3年生の時は、マンガが好きだったから、出版された全ての男性向けマンガ雑誌を読んでいた(少年向けから大人向けまで)。当時の書店は立ち読みができたし、また出版点数も少なかったからそれが可能だった。 しかし、一年間その生活を続けてみると、さすがにバカらしくなった。時間がかかったというのも
〈教育を受けた若者が、定職もなく街にあふれ、庶民のなけなしの預金は減る一方。景気が伸びても、給料は上がらず、物価だけが上がった。悲しいかな、これが、資本主義の本当の顔である。/『資本論』をいったん遠くに放り投げた日本人は、いま再び拾い上げ、ページを開く必要に迫られている〉(本書見返しより) どうしていまさらそんな古臭い本を読もうというのか。なにしろ第一巻があらわれたのは1867年のこと。だが、残念ながらこの書物は、いまなお新しい。なぜなら、資本主義が、経済成長や富を生み出す一方で、それと裏腹に搾取や貧困を生み出し続ける限り、そのカラクリを見抜こうとする『資本論』もまた意義をもつからである。 それならさっそく読もうじゃないか。と言いたいところだが、困ったことにこの本、お世辞にもとっつきやすいとは言えない。 まずその分厚さ。現在手軽に手に入る岩波文庫の邦訳書は全九分冊ときている(原書でも全三巻
このスピード時代、百物語じゃ多過ぎる著:来楽零 画:緒方剛志 電撃文庫*1怪奇小説を書くのが好きな五人のオフ会で、自己紹介にかえて自分が紡いだ物語を披露する面々だが、本書の目次は何故か四章仕立てで――此界と異界が交錯する怪奇短編連作集。 大昔に副読本か何かで読んだっきりのドイツ民話集では、『マクベス』(シェークスピア) *2の「バーナムの森が動かないかぎり安泰だ」のように、本来はありえない状況が発生してしまって悲劇が成就してしまう話の連作になっていた、という記憶があります。ありえない状況を掲げて神を試すと、その冒涜に神が怒ってその状況を生じさせてしまう、という展開。 その観点からすると、本作は、「神への冒涜」連作ではなくて、「好奇心は猫をも殺す」連作の感じです。 気にしてはいけないと言われるとますます気になる、という状況で、事態の原因を綺麗に解明すればSFになり、解明できないまま悲劇が訪れ
〈だれでも読めるが、だれにも読めない書物〉 これから読もうという本の扉に、こんな言葉を見つけたら、あなたはどうするか。 のっけから禅問答? 普通に考えたら、本は読めるか読めないかではないか。知らない外国語で書かれた本や、なじみのない領域の専門書は読めない。でも、それらを除けば、小説でも随筆でも論文でも、私たちは自在に読むことができるのではなかろうか。などと気にしつつ、さらにページを繰ってみる。 〈ツァラトゥストラは、三十歳になったとき、そのふるさとを去り、ふるさとの湖を捨てて、山奥にはいった。そこでみずからの知恵を愛し、孤独を楽しんで、十年ののちも倦むことを知らなかった〉 小説のような書きだしで、ツァラトゥストラなる登場人物の行状が書かれている。なにもわからないことなどない。「だれにも読めない」は、コケオドシか。 10年間、山奥で孤独な思索を楽しんだツァラトゥストラは、そろそろ山を降りてみ
もともと、某ゲームのモデルだという噂に惹かれて手を出した「おもいでエマノン」。ストーリーは違えども、生命誕生から現在までのすべての記憶を持つ彼女は、わたしの中に永くいつづけてきた。 すんなり伸びた肢体、長い髪、おおきな瞳、そばかす――ちょっとエキセントリックな彼女には、くわえ煙草が似合う。鶴田謙二氏が「SFオールタイムヒロイン」というのもむべなるかな。ちなみに、わたしにとってSFオールタイムヒロインのベスト3はこれ。 エマノン(おもいでエマノン/梶尾真治+鶴田謙二) コーティー・キャス(たったひとつの冴えたやりかた/ティプトリーJr.) 芳山和子(時をかける少女/筒井康隆) 彼女とのわずかなひとときと、その「おもいで」をずっと大切にして生きること。 傷心をかかえた「ぼく」と怖いくらい共鳴しながら読む。物語を消費するのではなく一体化する感覚。思い入れが強すぎて、レビューよりも、思い出話をした
All kids hold an egg in their soul... Egg of our hearts... Our would-be selves... Yet unseen ... But adult? 「なりたいアタシ」や「ありたいジブン」は、普通、「夢」と呼ばれる。大きくなったら何になりたい? その子にとって大切なタマゴのようなものだ。みごと、そのタマゴを孵化させる人もいれば、割ってしまう人もいる。 だが、それは子どもがオトナになる過程で実現したり失ったりするもの。 では、いいオトナがそうしたタマゴを見出してしまったら、どうなる? 本書の2つの人生が、それぞれ答えを示している。ひとりは、ポール・ゴーギャン。高給と妻子を投げ捨てて、絵を描き始める。もう一人は、その祖母フローラ・トリスタン。貴族生活から脱し、労働者や女性たちの権利確立のために奮闘する。 自分を生贄にして楽園を目
徳間デュアル文庫より、古橋秀之氏、待望の新作『冬の巨人』が刊行される。早ウリでゲットしたので、早速レビューを言ってみよう! ■『ゲド戦記』DVDより古橋版ラピュタ『冬の巨人』を買おう 古橋秀之という作家は無視できない。 およそライトノベルというジャンルが第二次ライトノベルブームに至る過程において、古橋秀之という作家が書いた作品群が、いかに多大な影響を与えてきたかと言うことを見逃したというのであれば、多分、その人は目の中に家の梁が入ったとしても見逃す人だろう。 古橋秀之のデビューが業界に与えた衝撃というのは、それぐらい大きくまた筆力を持った作家でもある。 それは何故かというと、古橋秀之の視点を持って世界をリライトし直すと、それがちょっと新しくなるからである。 法政大学金原ゼミでのエピソードだが、秋山瑞人が書いてきたサイバーパンクを、翌週、古橋秀之がギャグにリライトして書いてきて、金原瑞人自体
「ごめんなさい、本当にごめんなさい」──望まない妊娠の果てに売られていく子どもたち。日本→外国の話。日本人の赤ちゃんの相場は200~500万円とのこと。無料で譲っている「産院」もあれば、暗にマージンを要求する「業者」も確かに存在する。 「赤ちゃんの値段」をキーワードとしたルポルタージュで、養子縁組の話に限定されていない。ebay で「今月産まれる赤ちゃん売ります」に1,200万の値がついたことも書いてあるし、望まれない妊娠をヤミ堕胎(自由診療)で荒稼ぎしていた産院が、中絶胎児を一般ごみとして捨てていて、産廃処理法違反の話もあった。 赤ちゃん市場において、最大の輸出国は中国であることは、一人っ子政策の[B面]を想像すれば予想がついていたが、最大の輸入国は、やっぱりというかなんというかアメリカだった。中華女児→American Girl ちうわけね。 翻って日本。あっせん業者の言い分だと「子ど
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